起立性調節障害に効く漢方とは?朝起きられない子どもの体質改善

  • 「朝になっても起き上がれない」
  • 「頭が痛い、ふらふらする」
  • 「学校に行けない日が続いている」

——そんなお子さまの姿を見て、どうすればいいのか途方に暮れている保護者の方は少なくありません。

病院で「起立性調節障害」と診断されたものの、薬を飲んでもなかなか改善しない、あるいは薬に頼らない方法を探しているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、起立性調節障害と漢方の関係について、専門的な視点からわかりやすくお伝えします。
漢方がどのようにお子さんの体質にアプローチできるのか、ぜひ参考にしてみてください。

起立性調節障害とは

主な症状

起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)は、自律神経の働きがうまく調整できなくなることで起こる疾患です。
思春期の子どもに多く見られ、以下のような症状が代表的です。

・朝、なかなか起き上がれない

・立ち上がったときにめまいや立ちくらみがする

・頭痛、腹痛、吐き気

・倦怠感・疲れやすさ

・動悸、息切れ

・午前中は特に具合が悪く、午後から夕方にかけて回復してくる

これらの症状は「怠けている」「気持ちの問題」と誤解されることがありますが、れっきとした身体的な疾患です。
本人が最もつらい思いをしていることを、まず理解していただくことが大切です。

原因(自律神経との関係)

起立性調節障害の根本には、自律神経のバランスの乱れがあります。

自律神経には、活動時に働く「交感神経」と、リラックス時に働く「副交感神経」の2種類があります。
健康な状態では、この2つがバランスよく切り替わっています。

ところが起立性調節障害の子どもは、朝や立ち上がったときに交感神経がうまく働かず、血液が下半身にたまりやすくなります。
その結果、脳や心臓への血流が不足し、めまいや頭痛、倦怠感といった症状が現れます。

思春期は自律神経が発達する時期でもあり、ホルモンバランスの変化やストレス、生活リズムの乱れなどが重なると、こうした症状が出やすくなると考えられています。

診断について

起立性調節障害の診断は、小児科や内科で行われます。
起立試験(寝た状態と立った状態での血圧・脈拍の変化を測定する)が診断の基本となります。

ただし、症状の程度には個人差があり、軽症から重症まで幅があります。
また、うつ状態や不安障害など、心理的な問題が合併していることもあり、診断・治療には総合的な判断が必要です。

すでに病院を受診されている方も多いと思いますが、漢方は西洋医学の治療と併用することも可能です。
ご心配な場合は、主治医の先生と相談しながら進めることをおすすめします。

なぜ朝起きられないのか

交感神経と副交感神経の切り替えの問題

健康な人は、朝目が覚めると自然に交感神経が優位になり、血圧が上がって体が活動モードに切り替わります。
ところが起立性調節障害の子どもは、この切り替えがスムーズにいきません。

朝になっても副交感神経が優位なままで、血圧が上がらず、脳への血流が不足した状態が続きます。
これが「起きられない」「起きても動けない」という状態の正体です。

「気合いで起きなさい」「根性が足りない」という言葉は、この子どもたちにとって的外れであるどころか、精神的な追い打ちになってしまうこともあります。

血圧調整の問題

起立性調節障害では、立ち上がったときに血圧が適切に上がらない「起立性低血圧」や、逆に心拍数だけが異常に上がる「体位性頻脈症候群」などのタイプがあります。

いずれも血圧の調整がうまくいかないことが共通点で、脳や全身への血流が不安定になります。
これが頭痛、めまい、倦怠感、集中力の低下などに直結しています。

午後から夕方にかけて回復してくるのも、時間が経つにつれて自律神経のバランスが整ってくるためです。

不登校との関係

心理的問題だけではないこと

起立性調節障害と不登校は、深く結びついていることが多いです。
文部科学省のデータでも、不登校の背景に起立性調節障害が関わっているケースが一定数あることが示されています。

「学校に行きたくない」という気持ちが先にあるのではなく、「体がつらくて物理的に行けない」という状況が続いた結果、不登校になっているケースが少なくありません。

本人の意志の問題ではなく、体の問題であることを周囲が理解することが、回復への第一歩になります。

保護者が知っておくべきポイント

起立性調節障害のお子さんを持つ保護者の方に、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。

・「怠け」「さぼり」ではなく、体の機能の問題です

・無理に起こそうとすると、症状が悪化することがあります

・回復には時間がかかることが多く、焦らないことが大切です

・学校や担任の先生への説明・連携が助けになることがあります

・親御さん自身も抱え込まず、専門家に相談してください

漢方の相談にいらっしゃる保護者の方の中には、「どこに相談しても改善しない」「子どもも自分も限界」とおっしゃる方がいます。
そうした方のお話をしっかりお聞きしながら、体質に合ったサポートを一緒に考えていきたいと思っています。

起立性調節障害のお子さんを見守る保護者の方は、「どのように接すればよいのか」と悩むことも多いと思います。

親としての接し方や心構えについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

▶ 起立性調節障害の子どもを見守る親の心構え

漢方で起立性調節障害を改善する考え方

漢方では、起立性調節障害を「病名」で治療するのではなく、その人の「体質」と「体の状態」に合わせて処方を選びます。
同じ起立性調節障害でも、お子さん一人ひとりの体質によって使う漢方薬が異なるのが漢方の特徴です。

気虚(ききょ)——エネルギー不足の状態

「気」は漢方における生命エネルギーのようなものです。
気虚とは、この気が不足している状態を指します。

疲れやすい、声が小さい、食欲がない、風邪をひきやすい、朝に特に元気がない——
こうした特徴が見られるお子さんは、気虚のタイプが多いです。
思春期の急激な成長で気を消耗しやすく、起立性調節障害の子どもに気虚が関わっていることは少なくありません。

血虚(けっきょ)——栄養・潤いが足りない状態

「血」は漢方では血液だけでなく、全身を栄養し潤す物質全般を指します。
血虚とは、この血が不足している状態です。

顔色が白い、爪が割れやすい、髪がパサつく、月経不順(女の子の場合)、夜眠りが浅い——
こうした特徴がある場合、血虚のタイプが考えられます。
特に女の子は月経により血を消耗しやすく、血虚になりやすい傾向があります。

水滞(すいたい)——水分代謝の乱れ

「水」は体の中の水分全般を指します。
水滞とは、水分の代謝がうまくいかず、体に余分な水がたまったり、必要な場所に水が行き渡らなかったりしている状態です。

めまい、頭重感、雨の日に症状が悪化する、むくみやすい、胃がチャポチャポする感じ——
こうした特徴があれば、水滞のタイプが考えられます。
起立性調節障害のめまいや立ちくらみには、この水滞が関わっていることがよくあります。

思春期との関係

思春期は、漢方でいう「腎」の働きが急速に発達する時期です。
腎は成長・発育・生殖に関わるとされており、この時期に腎の働きが追いつかないと、自律神経のバランスが乱れやすくなります。

また、思春期特有のストレス(人間関係、受験、親子関係など)が「肝」の働きを乱し、気の流れが滞ることも多いです。
漢方ではこうした体全体の状態を総合的に見て、お子さまに合った処方を選んでいきます。

起立性調節障害によく使われる漢方薬

以下に代表的な漢方薬を紹介しますが、漢方薬は体質に合わせて選ぶものです。
自己判断での服用はせず、必ず専門家にご相談ください。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

・向いている体質

疲れやすく、食欲が落ちている、気力がわかない、声が小さい、胃腸が弱いタイプ

・主な症状

慢性的な倦怠感、朝の起きづらさ、集中力の低下、食欲不振、免疫力の低下

・特徴

「気」を補い、体全体のエネルギーを高める代表的な処方です。
「補気」の処方として知られており、慢性的な疲労や虚弱体質の改善に広く使われています。
起立性調節障害の気虚タイプに用いられることが多く、じっくりと体力を回復させていく漢方薬です。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

・向いている体質

立ちくらみやめまいが強い、動悸がある、胃に水がたまりやすい(胃内停水)、冷えがあるタイプ

・主な症状

起立時のめまい・立ちくらみ、動悸、頭重感、胃のチャポチャポ感

・特徴

水滞によるめまいや動悸に対応する処方で、起立性調節障害のめまいタイプに特に使われることが多いです。
余分な水分を排出し、体のバランスを整える働きがあります。
比較的飲みやすい処方で、子どもにも使いやすいとされています。

半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

・向いている体質

胃腸が弱く、めまい・頭痛が強い、冷えがある、雨の日に悪化しやすいタイプ

・主な症状

めまい、頭痛(特に頭が重い感じ)、吐き気、食欲不振、冷え

・特徴

胃腸の弱さと水滞が組み合わさった状態に対応する処方です。
天麻(てんま)という生薬がめまいや頭痛に働きかけます。
胃腸が弱く、めまいと頭痛が同時に出やすいお子さんに向いています。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

・向いている体質

イライラしやすい、精神的なストレスが強い、月経不順がある(女の子)、冷えとのぼせが交互に来るタイプ

・主な症状

情緒不安定、イライラ、不安感、頭痛、肩こり、月経トラブル

・特徴

気の流れを整え、ストレスによる不調を和らげる処方です。
特に女の子で、精神的なストレスや月経トラブルが起立性調節障害に絡んでいる場合に検討されることがあります。
「肝」の気の滞りを改善し、心身のバランスを整えます。

改善までの目安

漢方薬は即効性を求めるものではなく、体質を少しずつ整えていくものです。
そのため、効果を実感するまでには一定の時間がかかります。

一般的な目安として、自覚症状の変化を感じるまでに、軽症の場合は1〜3か月、中等症以上の場合は3〜6か月以上かかることも少なくありません。
ただし、これはあくまで目安であり、お子さんの体質や症状の重さ、生活習慣などによって大きく異なります。

改善のサインとしては、以下のようなものが挙げられます。

・朝の起きづらさが少しずつ和らいできた

・頭痛やめまいの頻度・強さが減ってきた

・午前中に活動できる時間が増えてきた

・食欲が出てきた、顔色が良くなってきた

焦らず、お子さんのペースで回復を見守ることが大切です。
漢方薬・紫雲では定期的に状態を確認しながら、必要に応じて処方を調整していきます。

起立性調節障害は体質によって改善のスピードが異なりますが、漢方治療を続けることで徐々に朝起きられるようになった例も多くあります。

当薬局での起立性調節障害の改善例については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

▶ 起立性調節障害の漢方症例の一例はこちら

漢方薬局で相談するメリット

病院の処方薬と漢方薬は、アプローチの仕方が異なります。
どちらが優れているということではなく、それぞれの特徴を活かして組み合わせることもできます。

漢方薬局で相談するメリットとして、以下のような点が挙げられます。

体質に合わせたオーダーメイドの対応ができる

同じ起立性調節障害でも、お子さん一人ひとりの体質・状態に合わせて処方を選びます。画一的な治療ではなく、個別対応ができることが漢方の強みです。

体全体のバランスを整えることができる

「起立性調節障害」という病名だけでなく、疲れやすさ、胃腸の弱さ、冷えなど、お子さんが抱えるさまざまな不調を総合的に見て対応します。

副作用が比較的少ない

漢方薬は天然由来の生薬からできており、体質に合ったものを選べば比較的穏やかに作用します(ただし、体質に合わない場合や飲み合わせの問題もあるため、専門家への相談が必要です)

西洋医学の治療と併用できる

すでに病院で薬を処方されている場合でも、主治医の先生に確認の上で漢方薬を併用することが可能なケースがあります。

保護者の不安や疑問にも丁寧に対応できる

漢方薬局での相談は、時間をかけてお話を聞くスタイルが基本です。
「病院では聞けなかったこと」「日常生活での注意点」なども気軽にご相談いただけます。

よくある質問

漢方薬は子どもでも飲めますか?

はい、子どもでも服用できる漢方薬はあります。
ただし、用量は体重や年齢によって調整が必要です。
また、漢方薬の中には苦みや独特の風味があるものもあり、飲みやすさについても相談しながら選んでいきます。
顆粒をお湯に溶かして飲む方法や、オブラートに包む方法なども工夫できます。

病院の薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?

基本的には併用できるケースが多いですが、飲み合わせの問題がゼロとは言えません。
現在服用中のお薬がある場合は、必ずお知らせください。
また、主治医の先生にも漢方薬を使うことをお伝えしておくと安心です。

どのくらいの頻度で相談に来ればいいですか?

4〜6週間ごとに一度ご来局いただき、状態の変化を確認しながら薬方を調整していくことが多いです。
状態が安定してきたら、来店の間隔を広げていくことができます。
遠方の方にはお電話やLINEで対応いたします。

健康保険は使えますか?

漢方薬局で販売する漢方薬(一般用漢方薬)は、基本的に保険適用外となり、全額自己負担となります。
一方、医療機関で処方される医療用漢方製剤は保険適用になる場合があります。(当店では対応しておりません)
費用については、初回相談時にご確認ください。

起立性調節障害は漢方だけで治りますか?

漢方薬は体質改善をサポートするものであり、「漢方だけで必ず治る」とは言い切れません。
生活習慣の改善(規則正しい睡眠、水分・塩分の摂取、適度な運動など)と組み合わせることが大切です。
また、精神的なサポートや学校との連携なども回復に欠かせない要素です。
漢方はその一つの選択肢として、総合的なアプローチの中で活用していただければと思います。

起立性調節障害でお悩みの保護者の方へ

「もっと早く相談すればよかった」
——紫雲にいらっしゃる方から、こんな言葉をよくいただきます。

どこに相談すればいいかわからない、病院の治療だけでは改善しない、子どももつらいけれど親である自分も限界——そんな状況で、勇気を出して相談にいらっしゃる方が多くいます。

漢方は「すぐに劇的に治る魔法」ではありません。
しかし、お子さまの体質をじっくり見極め、一人ひとりに合ったサポートを続けることで、少しずつ体が変わっていくことを実感される方がたくさんいらっしゃいます。

起立性調節障害や思春期の自律神経の不調でお悩みの方は、紫雲までご相談ください。
きっと何かのお役に立てると考えております。

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