漢方薬を卒業される日が来た。
10年という長い時間をかけて体質改善に取り組んでこられた女性が、定年退職という節目に、漢方ともお別れされました。
仕事の負担が大きい中でも、あきらめずに体と向き合い続けてこられた姿をそばで見守れたことを、心からうれしく思っています。
最初のご相談——めまいとパニックが重なる毎日
50代の頃、最初にご相談にいらっしゃったときの主な症状は3つでした。
ふわふわするめまい、すぐにお腹を壊してしまう胃腸の弱さ、そして突然不安に襲われるパニック症状。
めまいとパニックが重なると、「また起きたらどうしよう」という予期不安が常に頭から離れなくなります。
外出するたびに、仕事中も、ふとした瞬間にも——その不安を抱えながら、それでも働き続けていらっしゃいました。
気功(糸練功)でお身体の状態を確認し、体質に合わせた漢方を始めると、少しずつ体調は上向いていきました。
波との長い付き合い
ところが半年ほど経った頃、今度は「強い疲れ」と「気分の落ち込み」が目立つようになりました。
漢方を調整すると改善するのですが、季節の変わり目や仕事の忙しさで、どうしても波が出てしまう時期が続きました。
さらにその頃、血圧の上昇も見られました。
そこで、体の巡りやバランスを整える方向へと方針を変更。
すると血圧だけでなく、他の不調も少しずつ落ち着いていきました。
しかし今度は耳鳴りと動悸が出現。
その度に処方を見直し、より深い体質の部分からアプローチする治療へと進んでいきました。
症状が出るたびに対処する。また別の症状が出る。
その繰り返しの中で、少しずつ気づいていったことがあります。
「その場しのぎ」から「基礎からの建て直し」へ
目の前の症状を消すことだけを目標にしていると、いつまでも波は続きます。
壊れかけた家をその場しのぎで修理し続けるようなもので、一箇所直せば別の箇所が傷んでくる。
根本から変えていくには、土台そのものを整える必要がありました。
この頃から、方針を大きく切り替えました。
症状ではなく、体の土台そのものを整えることを目標にしたのです。
気虚・腎虚という深い体質の弱りに対して、補う性質の漢方薬を中心に処方を組み直しました。
消化吸収の力を高め、生命力の根本を補っていく——
時間はかかりますが、この方向性が正しいと感じていました。
土台が整うと、体が変わった
土台が整ってくると、季節の変わり目や気圧の変化に振り回されにくくなりました。
以前は天気が崩れるだけで体調が乱れていたのが、だんだんと気にならなくなっていったのです。
仕事の負担にはまだ反応することもありましたが、少しずつ体が慣れていきました。
めまいもパニックも、いつの間にか「また起きたらどうしよう」という不安が薄れていきました。
定年という節目に、漢方も卒業
そして今回、定年退職という人生の節目に、漢方薬も卒業されることになりました。
10年という時間は長いように見えますが、振り返ってみれば「体の土台を一から建て直す時間」でもありました。
その間、仕事を続けながら、波があっても諦めずに向き合い続けてこられたことが、この結果につながったと思っています。
本当におめでとうございます。
この症例から学んだこと
私自身にとっても、忘れられない症例になりました。
「症状だけを見るのではなく、体そのものと向き合うこと」「日々の養生を積み重ねることの大切さ」——長い時間をかけて、改めてそれを教えていただきました。
めまいやパニック症状、長年の体調不良でお悩みの方、「どこに行っても改善しなかった」という方——
まずはLINEで症状をざっくり教えていただくだけで大丈夫です。
一緒に、体の土台から整えていきましょう。
