「急に眠れなくなった」から始まり、睡眠薬と断薬でさらに悪化した不眠が、漢方で整っていくまで|40代女性

「昨夜も眠れなかった」

その言葉が、朝のあいさつになっていました。

ベッドに入る。目を閉じる。でも頭はずっと動いている。
考えたくないのに、考えてしまう。
体は疲れているのに、眠気だけが来ない。
そのうち空が明るくなってくる——

そんな夜を何十回も経験してきた方が、当店にご相談にいらっしゃいました。
40代の女性です。

始まりは、夏の「ほてり」だった

それまでは、よく眠れていた方でした。
心配事があるときに少し眠れないことはあっても、翌朝にはリセットされる。
そんな体質だったといいます。

それが昨年の8月、夜になると体がほてって、どうしても寝付けなくなりました。
最初は「暑いせいかな」と思っていました。
でも涼しくなっても続きます。
横になるたびに、じわじわと体の内側から熱がわきあがってくるような感覚。
寝返りを打っても、窓を開けても、治まりません。

9月になり、内科・精神科を受診。
睡眠薬(マイスリー10mg)が処方されました。

薬で「眠れる」ようになったけれど

睡眠薬を飲めば、確かに眠れる。
でも「眠っているのに、眠った気がしない」。
翌朝、頭に靄がかかっている。
体を動かすのがおっくうになる。
「これが本当に回復しているのだろうか」という感覚がずっとあった、とおっしゃっていました。

同時期、別の漢方薬局でも温胆湯・半夏厚朴湯を試しましたが、変化は感じられなかったといいます。
これらは気の滞りや水毒に対応する処方です。
不眠に使われることは多いのですが、この方の不眠の根本は「気」ではなく「血の問題」でした。
血熱と瘀血が同時に存在するタイプは見落とされやすく、そこに対応しない限り改善は難しいのです。

4ヶ月間、毎晩睡眠薬を飲み続けた12月ごろから、新たな症状が出てきました。
食欲がない。気持ちが沈む。物事が記憶に残らない。などなど。
睡眠薬の影響と判断し、翌1月から断薬を決意されます。

薬をやめたら、また眠れなくなった

断薬すると、離脱症状として不眠がぶり返しました。
「薬がなければ眠れない体になってしまったのか」と感じる方も多いです。
でも実際には、脳と神経系が薬なしの状態に再適応しようとしている過程であることがほとんどです。

ただし、自己流の断薬や急な減薬は離脱症状を悪化させることがあります。
同じような状況でお悩みの方は非常に多く、当店にも「どこに行けばいいかわからない」という状態でいらっしゃる方が後を絶ちません。

当店にいらっしゃったのは、断薬から約5ヶ月が経った頃でした。
「少しずつ眠れる日は増えてきているけれど、また暑くなってきたせいか、ここのところ悪化している」とおっしゃっていました。

気功による体質確認

問診と気功(糸練功)で体の状態を確かめると、二つの反応が出ていました。
糸練功とは20年以上の実践を通じて培った体質確認の技術で、問診では見えにくい体質の偏りを読み取ることができます。

糸練功についての詳しい説明はこちら

ひとつは血熱——
血に余分な熱がこもっている状態です。
最初のほてりや、暑さで不眠が悪化するパターンとよく一致します。

もうひとつは瘀血——
血の巡りが滞っている状態です。
精神的な落ち込みや慢性的な疲弊感と関係することが多いです。

更年期の変化によってホルモンバランスが乱れると、瘀血や血熱が生じやすくなります。
この方の突然のほてりの背景にも、更年期との関連が疑われました。

表面の熱を鎮める薬方と血の流れを整える薬方を組み合わせ、薬方を整えました。
煎じ薬です。生薬をひとつずつ組み合わせて、その方の体の状態に合わせた量と配合で処方しています。

さらに、気の巡りをサポートする丸薬も加えました。
「とにかく、少しでも早く良くなりたい。」
その希望に答えられるように最善の方法をお選びいたしました。

10ヶ月かけて、体が変わっていった

回復はスムーズに動いていきました。

3週間後——なんとなく、体調や気持ちが上向いている気がする。
「このまま続けてみようかな」という小さな前向きさが生まれていました。

1ヶ月半後——一睡もできない夜は減った。
ただ、寝付きはまだ悪い。落ち込む日も多い。
この時点で反応を見直し、処方を調整。

3ヶ月半後——体調が良い、と感じられるようになってきた。
「前よりは確実にラクになっている」とご本人もはっきり口にされました。

4ヶ月半後——5〜6時間は眠れるようになった。寝付きも改善してきた。

5ヶ月後——8時間眠れる日が出てきた。
ご本人から減薬の希望が出たので、少しずつ量を減らし始める。
「やっとここまで来られた」という安堵の表情が印象的でした。

8ヶ月後——2週間に1回くらい眠れない夜があるけれど、「気にならない。全然オーケー」とのこと。

10ヶ月後——とても順調。煎じ薬をさらに減らしていきます。

1年後——通常の3分の1ほどの量で継続。
「まだ少し不安なので続けたい」というご希望で自分のペースで服用を続け、その後4ヶ月ほどで無事に卒業されました。

体ごと、眠れる体質に変わった

最終的にこの方が手に入れたのは、「薬がなくても、夜になれば自然に眠くなる体」です。
寝る前に不安にならない。
ベッドに入ることが怖くない。
仕事に全力で向き合える朝が戻ってきたのです。

眠れない夜が続いているとき、「自分の体はもう壊れてしまったのかもしれない」と感じることがあると思います。
でも体には本来、眠る力が備わっています。
何がその力を妨げているのかを丁寧に見つけ、整えていくこと——それが当店の漢方相談です。

実は、この方と同じように「睡眠薬をやめたい・でもやめるのが怖い」「断薬してから眠れなくなってしまった」というご相談は、ここ数年とても増えています。
自己流で一気に減らしたり、薬を変えたりすると、一時的に不眠や不安が強くなることも少なくありません。

大切なのは「薬をやめるか・続けるか」ではなく、「どうやって自分の体に負担をかけずに整えていくか」です。

漢方相談のご予約はLINEやInstagramのDMからどうぞ。
じっくりお時間をとってお話をお伺いします。
睡眠薬を飲んでいる方、断薬を考えている方、どこに行っても改善しなかった経緯があっても、遠慮なくお聞かせください。
全国からのオンライン相談・漢方薬の配送にも対応しています。

不眠と漢方についての詳しい説明はこちら

この記事の著者・監修

漢方薬・紫雲 代表薬剤師 Kampo Shiun

  • 薬剤師(国家資格)
  • 漢方専門歴 20年以上
  • 気功実践歴 20年以上
  • 開局15年(2010年〜)
  • 漢方薬・紫雲 代表
  • 全国オンライン対応

神奈川県湘南エリアで漢方薬局「漢方薬・紫雲」を開局。 薬剤師として西洋薬の知識を持ちながら、20年以上にわたり漢方・気功の専門家として 多くの患者さまの体質改善に携わってきました。 「どこに行っても改善しなかった」「病院で異常なし、でもつらい」という方のご相談を 特に大切にしています。煎じ薬・氣功チェックを組み合わせた、紫雲ならではのアプローチで根本からの体質改善を目指します。

※ 本記事は薬剤師・漢方専門家の監修のもと作成しています。個別の症状についてはご相談ください。