「また熱が出た。今月も仕事を休んだ。」
そんな毎月の繰り返しに、疲れきっていませんか。
卵巣チョコレート嚢胞は、痛みだけでなく、発熱・胃痛・慢性的な鈍痛と、症状のバリエーションが多い病気です。
「手術を勧められているけれど、まだ決心がつかない」「とりあえず今の痛みをどうにかしたい」という方が、漢方相談に来られることがよくあります。
今回は、41歳でチョコレート嚢胞4cmと診断され、当薬局でご相談いただいた方の経過をご紹介します。
ご相談に来られたときの状態
41歳の女性。
1年ほど前から、排卵のタイミングで右下腹部に痛みを感じるようになりました。
はじめは「少し気になる程度」でしたが、半年後には生理のたびに腹痛や胃痛も加わるように。
8月と10月には生理中に38度前後の発熱があり、婦人科を受診されました。
その後のMRI検査で、右卵巣のチョコレート嚢胞(4cm)と診断。
子宮内膜が厚めで、子宮体がんの検査も並行して行われていました。
受診時は「月の半分くらいは右下腹部や胃部に違和感や鈍痛がある」状態。
痛み止めが必要なほどではないものの、「いつ痛みが来るか」という不安が、毎日のベースにあるという日常でした。
担当医からは何らかの手術を勧められている状況でしたが、「できればまず自分でできることをやってみたい」とのご希望で、当薬局にご相談いただきました。
漢方では、チョコレート嚢胞をどう捉えるか
漢方では、卵巣チョコレート嚢胞を「瘀血(おけつ)」の状態として捉えます。
瘀血とは、血液の流れが滞り、古い血がうまく排出されずに溜まってしまっている状態のこと。
チョコレート嚢胞の正体である「古い血液の蓄積」は、まさに瘀血のあらわれと考えます。
血の巡りが悪くなると、骨盤まわりの炎症が慢性化しやすく、月経痛・排卵痛・発熱といった症状につながっていきます。
この方の場合も、気功チェックを含めた体質確認の結果、瘀血が中心にあると判断し、それに対応する漢方薬をお選びしました。
体質へのアプローチ:漢方薬と、たったふたつの食事の見直し
処方したのは、瘀血(血の滞り)に対応する漢方薬です。
あわせて食事について確認したところ、お菓子が多く、朝は甘いパンや菓子パンが定番という習慣がありました。
そこでお伝えしたのは、ふたつだけ。
- お菓子を減らす(頻度と量を、まず半分以下に)
- 朝の甘いパンをやめて、卵・納豆・具だくさんの味噌汁など、たんぱく質と温かい汁物中心にチェンジする
複雑なルールは設けませんでした。
「朝の甘いパンをやめる」という、ひとつの具体的な行動だけを変えることからはじめていただきました。
なぜ甘いものがチョコレート嚢胞に関係するのか
砂糖や精製小麦を多くとると、血糖値が乱高下しやすくなります。
この血糖スパイクは、慢性的な炎症を助長し、女性ホルモンのバランスも乱しやすいと考えられています。
漢方の観点でも、甘いものの摂りすぎは瘀血を生み、骨盤まわりの巡りをさらに悪化させると捉えます。
瘀血が積み重なると、症状は慢性化・悪化しやすくなるのです。
朝食を変えることで1日の血糖リズムが安定し、ホルモンや自律神経も整いやすくなります。
この方の場合、それが症状改善の大きな底上げになったと考えています。
「今回、生理痛がほとんどない」。変化は、すぐに来た
漢方を飲みはじめてすぐ、「あれ、今月は痛みがほとんどなかった」という変化を感じていただきました。
発熱もなく、排卵時の鈍痛も消え、月の半分を占めていた「右下腹部の違和感」がゼロになっていきました。
その後も、甘いものを控える習慣を続けながら漢方を服用していただき、自覚症状ゼロの状態を11か月間キープされました。
婦人科でのエコー検査では、嚢胞はおおむね4cmのまま。大きくはなっていません。
嚢胞は残っている。でも、毎日が変わった
「症状がゼロになった=嚢胞が消えた」ではありません。
チョコレート嚢胞という構造物は、漢方や食事だけで短期間に消えることは多くありません。
これは、ホルモン治療でも『痛みは改善しても嚢胞自体はすぐには消えない』ことが多いのと同じで、構造と症状は必ずしも同じスピードで変化しません。
ただ、炎症・痛み・発熱・鈍痛といった「毎日の苦しさ」は、体の巡りを整えることで大きく変えられます。
この方の経過は、そのことを示しています。
11か月後、「症状がゼロで安定しているので、いったん休みたい」というご本人の希望で、服薬を一区切りにされました。
年齢・嚢胞サイズを考えると長期的なリスクもお伝えした上での、ご本人との共同の決断です。
発熱のたびに仕事を休んでいた日々から、「今月も何ともなかった」が当たり前になった11か月。
その変化を、この方はとても喜んでいらっしゃいました。
漢方相談の前に、婦人科の定期検診は必ず続けてください
卵巣チョコレート嚢胞は、とくに40代・4cm以上の場合、長い目で見ると卵巣がんのリスクがわずかに上がることや、不妊・捻転のリスクも報告されています。
「症状がなくなったから大丈夫」ではなく、婦人科でのエコー検査・腫瘍マーカーの定期チェックは、症状の有無にかかわらず続けてくださいませ。
当薬局では、「病院の治療か、漢方か」の二択ではなく、「婦人科でしっかり診てもらいながら、漢方と食事で体の土台を整える」という考え方をお伝えしています。
手術が必要かどうかは、婦人科の先生と十分に相談して決めてください。
こんな方は、一度ご相談ください
- チョコレート嚢胞と言われたが、すぐの手術には踏み切れない
- 生理のたびに痛みや発熱があり、毎月が憂鬱になっている
- ピルやホルモン剤が合わない、または抵抗がある
- 甘いものが多い自覚があり、体質から整えたいと感じている
- 「どこに行っても改善しなかった」という経緯がある
まずは今の症状を、LINEで気軽に教えてください。
チョコレート嚢胞の経緯や、婦人科での検査結果のメモがあれば、それも一緒に送っていただけると助かります。
詳しく問診票を書かなくても、「こんな状態で」という一言からで大丈夫です。
