低気圧で頭痛・めまい・日中の強い眠気が出る20代女性の症例|漢方で1年かけて整えた気象病タイプの体質

低気圧のたびに頭痛やめまいに悩まされる方は少なくありません。
今回は、10代から続いた『気圧で悪化する頭痛・めまい・日中の眠気』が、漢方で1年かけて落ち着いていった20代女性の症例をご紹介します。

もくじ── 気になるところから読めます

  1. 「低気圧が来る前から、体が先に知っている」
  2. 会話の途中で、意識が遠のいていく
  3. 漢方から見た、この方の体の地図
  4. 紫雲での見立てと、薬方の方向性
  5. 1年間の体の変化
  6. 同じようにお悩みの方へ

「低気圧が来る前から、体が先に知っている」

天気予報より正確な、この体のアラート

「低気圧が近づいてくると、頭が重くなってくるんです。アプリで確認する前に、もう体が教えてくれていて」

そう静かに話してくれたのは、20代の女性でした。
デスクワークが中心の、どこにでもいそうな働き盛りの年齢です。

低気圧のときだけではありません。
気圧がグンと上昇するタイミングでも、同じように体が崩れるのだと言います。
下がっても上がってもつらい。
天気が「動く」こと自体が、この方の体にとっての引き金でした。
頭痛、めまい、体の重だるさ。
症状が出るたびに、その日の予定を縮小して、なんとかやり過ごす。
そんな日が、10代のころからずっと続いていたそうです。

10代からずっと、どこへ行っても「異常なし」

はじめて症状が出たのは、高校生のころだったと記憶しているとのことでした。
当時は「起立性調節障害かもしれない」と言われたこともあったそうですが、成長とともに落ち着くだろうと様子を見るうちに、いつの間にか社会人になっていました。

社会人になってからは、内科や神経内科を受診したこともあります。
血液検査、頭部MRI。どの検査も「異常なし」という結果で帰ってきました。
「体は正常ですよ」と言われるたびに、ほっとする気持ちと、腑に落ちない気持ちが混ざりあっていたとおっしゃっていました。

数値に出ない。
画像にも映らない。
でも、毎月何度も、天気が変わるたびに確実に体は崩れる。
「これは体質なんだ、一生付き合っていくしかないんだ」と、どこかであきらめを決めていた、と静かな声でお話しくださいました。

漢方の相談にいらしたのは、ご友人に勧められたのがきっかけだったそうです。
「わたしも友人みたいに回復できるのかな。。。」という言葉が、今でも印象に残っています。
というのも、当店にいらっしゃる前に、別の漢方薬局にも通っていたとのことでした。
しばらく続けてみたものの、頭痛もめまいもすっきりせず、「漢方でも変わらないのかもしれない」という気持ちを抱えながら、それでもあきらめきれずに来てくださいました。

また、心療内科でレクサプロを処方され、毎日服用していました。
自律神経の乱れや気分の波を薬で支えながら、それでも体の不調は取りきれないという状態が続いていたのです。
それほど長く、「どこに行っても変わらない」という経験を重ねてこられていたのだと思います。

それでも体は、ちゃんとSOSを出し続けていた。
検査で異常が出ないことと、体に何も起きていないことは、まったく別の話です。
数値に出ない不調にこそ、漢方が向き合える領域があります。
この方のご相談を伺いながら、そのことをあらためて感じました。

会話の途中で、意識が遠のいていく

眠気は怠けではなく、体のSOSだった

この方が抱えていたのは、頭痛やめまいだけではありませんでした。
日中、突発的な眠気に飲み込まれてしまうという症状が、日常生活をさらに苦しくしていました。

人と話している最中でさえ、ふっと意識が遠のいて寝落ちしてしまう。
会議中に舟をこいでしまい、「また迷惑をかけてしまった」と罪悪感を抱えて帰宅する日が続いていたそうです。
意志の問題ではありません。
前の晩にしっかり眠れていても、関係なく来るのだとおっしゃっていました。

「怠けているわけじゃないとわかっていても、周りにはそう見えていないか不安で」という言葉が、今でも印象に残っています。
眠気と戦いながら、同時に周囲の目も気にしながら、毎日を過ごしていたのです。

甘いもので誤魔化し続けた数年間

眠気をなんとかしようと、この方がたどり着いたのが甘いものでした。
菓子パンやチョコレートを手元に置いて、眠気が来そうなときにすぐ口に入れるという習慣が、いつの間にか定着していたそうです。

たしかに、食べた直後はしのげます。
血糖値が上がる一時的な力を借りて、なんとかその場をやり過ごす。
でも1〜2時間もすると、また強い眠気が波のように押し寄せてくる。
そのたびに甘いものを補充する、という繰り返しでした。

漢方的に見ると、これは悪循環のサインです。
急激な血糖の上げ下げは、胃腸への負担をさらに重ねてしまいます。
胃腸が疲弊すると、体全体へエネルギーを送り出す力が弱まる。
エネルギーが届かないから、また眠くなる。
甘いもので補おうとするほど、根っこの疲れが深くなっていく、という構造がありました。

この方自身も「甘いものが増えてから、なんとなく体が重い気がする」と感じていたそうです。
でも、それをやめてしまうと眠気をしのぐ手段がなくなる。
やめたくてもやめられない、という状態になっていたのです。

体が発しているSOSを、別の負担で押さえ込もうとしていた。
その苦しさは、傍から見ていてはなかなかわからないものです。
数年間、そうやって一人でやり過ごしてきたのだということを、問診を通じてじっくりお聞きしました。

漢方から見た、この方の体の地図

三つのアンバランスが重なっていた

「気圧で頭痛が出る」「日中に眠気が来る」。
症状だけを聞くと、一つの問題のように見えます。
でも漢方では、その症状がなぜ出るのか、体の中でどんな乱れが起きているのかを、一人ひとり丁寧に見極めるところから始めます。

問診・舌を拝見し、さらに糸練功(しれんこう)でお身体の状態をCheckし、この方には三つのアンバランスが重なっていることがわかりました。

ひとつ目は、体の中の「水の巡り」の滞りです。
漢方では、気圧が変化すると体内の余分な水分が頭や体の上部に停滞しやすくなると考えます。
頭が重い、ふわふわするめまい、雨の前日から体が重くなる、というのはまさにこのタイプの典型的なサインです。
この方は低気圧だけでなく上昇気圧でも崩れるほど、水の巡りが乱れやすい体質でした。

ふたつ目は、「気」の巡りの滞りです。
ストレスや自律神経の揺れで、こめかみを締めつけるような頭痛や肩こりが悪化する。
気圧変化という外からの刺激が、自律神経のバランスをさらに乱してしまう悪循環が起きていました。
レクサプロで気分の波を支えながらも、体の症状が取りきれなかったのは、この「気の滞り」が根っこにあったからとも考えられます。

みっつ目は、「気」の不足、つまりエネルギー産生の弱りです。
日中の突発的な眠気や集中力の切れやすさは、脳や体にエネルギーが届かない状態と深く関係しています。
甘いものへの強い欲求や、食後にとくに眠気が強くなるという特徴も、胃腸の弱りがエネルギー産生を妨げているサインのひとつです。

なぜ気圧の変化が、これほど体に響くのか

「なぜ自分はこんなに気圧の影響を受けやすいのか」と、長年不思議に思っていたとおっしゃっていました。
漢方的には、その答えは体の「余力」にあります。

気圧が変化するとき、体はそれに対応しようと自律神経をフル稼働させます。
健康な状態であれば、その調整は静かに、気づかないうちに行われます。
でも水の巡りが滞り、気が不足し、胃腸が弱っている状態では、その調整に使える余力がほとんど残っていません。
だから、少しの気圧変化でも一気に体が崩れてしまう。

「体が敏感すぎる」のではなく、「体の余力が足りていない」のです。
この見立ての違いが、漢方での治療の方向性をまったく変えます。
敏感さを抑えようとするのではなく、余力を取り戻すことを目指す。
それがこの方への処方を組み立てるうえでの、根本的な考え方でした。

紫雲での見立てと、処方の方向性

水・気・エネルギー、三方向から整える

この方への処方を組み立てるにあたって、まず考えたのは「どこを根っこと見るか」ということでした。
頭痛・めまい・眠気と症状は三つありましたが、この方の本治(根本的な治療の軸)は、「気を補うこと」にあると判断しました。

気が不足すると、体はエネルギーを末端に回す余裕を失います。
その結果、水の巡りも滞りやすくなり、自律神経の調整力も落ちていく。
つまり、気を補うことに本腰を入れると、水の滞りと気の巡りの乱れ、両方に同時に働きかけられるという見立てです。
症状ごとに別々の処方で対処するのではなく、根っこを整えることで枝葉が自然と落ち着いてくる、というのが漢方の考え方です。

気を補う処方は、胃腸を立て直すことと表裏一体です。
胃腸はエネルギーをつくり出す場所であり、ここが弱っていると補おうとしても吸収しきれません。
この方は長年の甘いものへの依存もあり、胃腸への負担が蓄積していました。

また、紫雲では薬方を決める際に糸練功(気功チェック)を用いています。
問診や舌だけではつかみきれない体の状態を、気功的な感覚で確認していく技術です。
この方の場合も、糸練功によって気虚の深さと胃腸の弱りを確認したうえで、薬方の優先順位を決めました。

養生でお伝えした「7割の日」という考え方

薬方と並行して、日常の過ごし方についてもいくつかお伝えしました。

まず、甘いものへの依存を急にやめるのではなく、少しずつ置き換えていくことをお願いしました。
菓子パンやチョコレートで眠気をしのぐ習慣は、胃腸への負担を重ねてしまいます。
胃腸が整ってくると、甘いものへの欲求自体が自然と落ち着いてくることが多いため、まずは量を減らすことから始めていただきました。

次に、睡眠の質を上げるために寝る前のスマホを控えること。
そして、気圧が大きく動く日は無理に10割の力を出そうとしないことをお伝えしました。
体が崩れやすい日があることを認識したうえで、そういう日は意識的にペースを落とす。
それだけで、回復にかかる時間がずいぶん変わってきます。

養生は、制限ではなく体との付き合い方を変えるものです。
この方にとっての養生は、長年「気圧に勝とうとしてきた体」を、少し休ませてあげることから始まりました。

1年間の体の変化

1ヶ月目 まず「回復の速さ」が変わった

服用を始めて1ヶ月ほどで、日常的に繰り返していた頭痛とめまいの回数が、はっきりと減ってきました。
以前は週3〜4回あったひどい日が、ぐっと少なくなったのです。

症状の回数と同時に、この方がとくに実感されていたのは「回復の速さ」でした。
頭痛が出ても、以前のように半日以上ぐったりすることがなくなってきた。
横になって少し休むと動けるようになる日が増えてきた、とのことでした。
「治る時間が短くなった感じ」という言葉が、体が少しずつ底上げされてきたサインだと感じました。

4〜6ヶ月目 台風には揺さぶられる、でも以前とは違う

日常的な頭痛やめまいが落ち着いてきた一方で、台風や大きな気圧変動のタイミングでは、まだ症状が出ることがありました。
この時期は体の底力が戻りつつある段階であり、強い刺激に対してはまだ余力が追いつかない状態です。

ご報告をいただきながら、この時期に処方を微調整しました。
台風などの大きな変化に対応できるよう、体の余力をさらに積み上げる方向で処方を見直したのです。
症状が出たことをネガティブに捉えるのではなく、「どこまで回復して、どこがまだ残っているか」を確認できる大切な情報として受け取りながら、丁寧に調整を続けました。

日中の眠気についても、この時期には「深みにはまらなくなってきた」とおっしゃっていました。
会議中の寝落ちもなくなり、菓子パンへの手が伸びる回数も自然と減ってきたとのことでした。
胃腸が少しずつ立て直されてきたことで、甘いものへの依存が緩んできたのだと思います。

8ヶ月目〜 体が安定し、減薬へ

8ヶ月目に入るころには、台風の時期を越えても体の状態が安定するようになってきました。
「気圧アプリを確認しない日が出てきた」とおっしゃっていたのが、この時期のことです。
毎朝のルーティンだったアプリの確認が、気づいたら抜けていた。
天気が「脅威」から「ただの天気」に変わりつつある、そういう時期でした。

体の安定を確認しながら、8ヶ月目から少しずつ減薬を始めました。
急に減らすのではなく、体の反応を見ながら丁寧に量を落としていく形で進め、1年で卒業となりました。

卒業後も、季節の変わり目だけは短期間お守り的に服用しながら、ほぼ通常の生活を続けておられます。
「気圧アプリを毎朝確認していたあのころが、もう遠い話みたいです」という言葉が、この1年を一番よく表していると思います。

同じように頭痛・めまいでお悩みの方へ

「気圧のせいだから仕方ない」とあきらめている方、「検査では異常なし」と言われ続けている方、「眠気で職場に迷惑をかけてしまう自分」に罪悪感を持っている方。
この記事を読んでくださっているあなたも、もしかしたらそのお一人かもしれません。

今回ご紹介した方も、漢方薬局をすでに試したことがありました。
病院にも、心療内科にも行っていました。
それでも変わらなかった。
「どこに行っても同じだった」という経験が積み重なるほど、相談すること自体がしんどくなっていきます。
それでも最後にもう一度だけ、という気持ちで来てくださったことを、今でもありがたく思っています。

漢方には同病異治という言葉があります。
同じ病気でも治し方は人それぞれ違うという意味です。
同じ「気圧で頭痛が出る」でも、体の中の乱れ方は一人ひとり違います。
水の滞りが強い方、気の巡りが悪い方、エネルギーそのものが底をついている方。
その方の体の地図を丁寧に読み取ることなしに、根っこからの改善はできません。
10問のチェックシートや、症状名だけで処方を決めることが紫雲にできない理由は、ここにあります。

紫雲では、問診・舌に加えて、糸練功(気功チェック)によってその方の体質を見極めています。
長年かけて積み重なってきた体の癖は、表面の症状だけを追っていてもなかなか変わりません。
根っこにある乱れを見つけて、そこから整えていくことが、煎じ薬による本格的な漢方治療の出発点です。

すぐに結果が出るわけではありません。
この方も、1年かけてゆっくりと体が変わっていきました。
でも、10代からずっと続いてきた体質が、時間をかけて整っていく。
その過程を一緒に歩むことが、紫雲の漢方相談です。

この方が手に入れた未来

天気予報を見るたびに憂鬱になっていた朝が、ただの天気の話になりました。
会議中に「また来る」とドキドキしながら眠気と戦う日も、もうありません。

漢方相談のご予約はLINEからどうぞ。
症状を簡単に教えていただくだけで大丈夫です。
「どこに行っても改善しなかった」という経緯も、遠慮なくお話しください。
じっくりお時間をとってお話をお伺いします。

この記事の著者・監修

漢方薬・紫雲 代表薬剤師 Kampo Shiun

  • 薬剤師(国家資格)
  • 漢方専門歴 20年以上
  • 気功実践歴 20年以上
  • 開局15年(2010年〜)
  • 漢方薬・紫雲 代表
  • 全国オンライン対応

神奈川県湘南エリアで漢方薬局「漢方薬・紫雲」を開局。 薬剤師として西洋薬の知識を持ちながら、20年以上にわたり漢方・気功の専門家として 多くの患者さまの体質改善に携わってきました。 「どこに行っても改善しなかった」「病院で異常なし、でもつらい」という方のご相談を 特に大切にしています。煎じ薬・氣功チェックを組み合わせた、紫雲ならではのアプローチで根本からの体質改善を目指します。

※ 本記事は薬剤師・漢方専門家の監修のもと作成しています。個別の症状についてはご相談ください。