漢方を飲み続けているのに「効いているのか分からない」と感じるのは珍しくありません
「最初の頃は、少し楽になった気がしていた。でも最近は変化が少ないな、このお薬であっているのかな、と自信がなくなってきた。」
そんなふうに感じている方から、ご相談をいただくことがあります。
漢方を続けているのに「効いているのか分からない」「このままでいいのか迷う」と感じる方は、実は少なくありません。
自律神経の乱れ、生理痛やPMS、慢性的な疲れやだるさ、メンタルの不調。
こうした「長く続いた不調」で漢方治療をされている方ほど、治療の途中でこの「中だるみ」「停滞感」を経験しやすい傾向があります。
それは、あなたの根性が足りないのでも、漢方が合っていないサインでもないことが多いのです。
この記事では、漢方治療の途中で感じやすい「よくある3つの壁」を整理します。
自己判断で中断してしまう前に、一度だけ読んでいただけたら幸いです。
漢方治療の途中で起こりやすい「よくある3つの壁」
このような停滞感には、いくつか共通するパターンがあります。
壁その1:生活リズムが変わり、飲み方や養生が乱れてくる
最初の不調が少し落ち着いてくると、仕事や家の用事を、またいつものペースで詰め込みやすくなります。
体がつらいときは「とにかく薬を飲まなければ」と意識できていたのに、少し動けるようになってくると、飲み忘れる日が増え始める。
飲む時間もバラバラになってくる。
気づけば、自己流で量を調整してしまっていた、という方も少なくありません。
たとえば、こんな状況が重なりやすいです。
朝はバタバタして飲めなかった。
夜は疲れてそのまま寝てしまった。
「2回飲めなかったから、今日はまとめて飲んでおこう」と量を変えてしまった。
こうして飲むペースが日によってバラバラになると、体に薬の効果が安定して届きにくくなります。
養生についても、同じことが言えます。
飲み始めのうちは「漢方の効果を最大限に引き出したい」という気持ちから、食事や生活習慣を丁寧に整えようとする方が多いです。
ところが、症状が少し落ち着いてくると、気持ちに油断が生まれやすくなります。
「今日くらいはいいか」「これくらいなら大丈夫だろう」と、少しずつ体質に合っていない生活に戻っていく。
そうした積み重ねが、「最近、効いているのか分からない」という感覚につながっていることがあります。
ただ、ここで少し見方を変えてほしいのです。
生活が動き出してきたということは、それだけ体が回復してきたサインでもあります。
最初のつらい時期と比べると、「動ける」「予定を入れられる」状態になってきたのですから。
飲み方が乱れやすくなるのは、ある意味、回復途上のよくある一幕です。
「ちゃんと飲めていない自分がダメだ」「また今日も〇〇をしてしまった」と責めるより、「飲み方や養生が乱れてきたかも」と気づいた時点で、その都度立て直せれば十分です。
壁その2:「ゼロか100か」で判断してしまう
漢方治療の整い方は、「ある日を境にスパッと症状がなくなる」というものではありません。
良い日と悪い日を行き来しながら、少しずつ波がならされていく。
それが、漢方治療の典型的な経過です。
ところが、しんどい時期が長かった方ほど、この「波」の悪い日だけに目が向きやすくなります。
「昨日はまだ不安が出た」「今日も頭が重い」。
そういう日が続くと、「全然良くなっていない」と感じてしまうのです。
でも、少し立ち止まって振り返ってみてください。
半年前と比べて、寝込む日は減っていませんか。
ひどい発作の回数は、以前より少なくなっていませんか。
「最悪の状態」が、ほんの少し遠くなっていませんか。
0か100かで見ると「まだ100には程遠い」と感じます。
でも、1か月前、3か月前と並べてみると、確実に階段を上がっていることに気づく方が多いです。
良い日と悪い日の「平均」を見ていく視点が、漢方治療を続けるうえでとても大切です。
「まだ不調な日がある」は、「良くなっていない」ではありません。
それは「まだ途中の階段にいる」ということです。
長く続いた不調は、整うにも相応の時間がかかります。
その時間の中にいること自体を、責めないでください。
壁その3:最初のつらさが軽くなり、別の不調が気になり始める
最初に一番困っていた症状が少し落ち着いてくると、今度は今まで気にならなかった症状が目に入り始めることがあります。
たとえば、こんなパターンです。
自律神経の乱れで通い始めた方が、動悸や息苦しさが落ち着いてきたころから、「胃がもたれやすくなった気がする」と感じ始める。
生理痛がメインの不調だったのに、生理前のイライラや気分の落ち込みが前より気になってくる。
慢性的な疲れで相談を始めた方が、肩こりや目の疲れが以前より気になるようになる。
「悪くなっているのかな」と心配になる方もいますが、多くの場合これは、体のバランスが変わってきた証拠です。
一番強かった不調が前面に出ていたときは、それ以外のサインが隠れていたのです。
それが少し落ち着いてきたことで、次の層が見えてきた、ということが少なくありません。
こういうときは、症状だけを追いかけるのをいったん休んで、今日という1日を少し充実させることに意識を向けてみることをお勧めしています。
体が動き出しているのですから、治すことは体に任せていい。
外の世界に少し目を向けてみると、気持ちの重心が変わることがあります。
自己判断でやめたり変えたりする前に、振り返ってほしいポイント
「効いていないなら、やめてしまおう」「自分で別の漢方に変えてみようか」と思い始めたとき、一度だけ立ち止まって、以下のことを振り返ってみてください。
いつから、どのくらい続けているか。
飲み始めて1か月前後は、まだ体が漢方に慣れていく準備の時期であることが多いです。
「効かない」と判断するには、少し早い段階のこともあります。
「一番ひどかった症状」は、本当に全く変わっていないか。
気づきにくいだけで、振り返ると「あの症状、最近出ていないな」ということは意外と多いものです。
飲み方や生活リズムに、大きな乱れがなかったか。
飲み忘れが続いていた時期と重なっていないか、季節の変わり目や仕事の繁忙期と重なっていないか、確認してみてください。
合わない処方を無理に続けることは、もちろんよくありません。
でも同じくらい、良い経過の途中で自己判断でやめてしまうことも、もったいないことがあります。
相談するときに、伝えてほしいこと
「効いているのか分からない」と感じたとき、ぜひ相談の場でそのまま話してください。
そのとき、以下のことを一緒に伝えていただけると、こちらも状況を把握しやすくなります。
良い日と悪い日の割合・パターン。
「週に2〜3日は調子がいい」「生理前の1週間だけ崩れる」など、大まかでかまいません。
生活面で変わったこと。
仕事が忙しくなった、睡眠時間が短くなった、季節が変わってから体の調子が変わった気がする、など。
飲み方の実際。
飲み忘れがどのくらい続いているか、時間帯がバラバラになっていないか。
「ちゃんと飲めていない日もあって…」と正直に話していただくほど、こちらも調整がしやすくなります。
あてはまると感じたときは、一度ご相談ください
こうした「停滞感」は、「自分が弱いから」「根性がないから」起こるものではありません。
心身の不調と長く付き合っていく中で、多くの方が一度は通る”通過点”のようなものです。
「このまま続けていいのか分からない」「焦っている自分がいる」「もう諦めかけている」。
そんなふうに感じたときは、どうかそのまま話してください。
今の段階に合った整え方を、一緒に考えていきます。
当店・漢方薬 紫雲は、神奈川県藤沢市にある漢方相談薬局です。
対面でのご相談のほか、オンラインでのご相談と全国への配送にも対応しています。
初回のご相談では、今までの経過や生活の様子を丁寧に伺いながら、漢方だけでなく、日々の養生も含めて一緒に組み立てていきます。
「どこに行っても改善の手がかりが見つからなかった」という経緯をお持ちの方も、遠慮なくご連絡ください。
LINEで症状や経過を簡単にお知らせいただくだけで、まずは大丈夫です。
必要なときに、使っていただける場所でありたいと思っています。
