18歳女性の抑うつ状態と動悸・下痢が改善し、学校生活を取り戻しつつある漢方症例

抑うつ状態、動悸、下痢、生理前の不調などが重なり、学校に通うことが難しくなってしまった18歳女性の症例をご紹介します。
漢方を取り入れることで、4ヶ月のあいだに少しずつ日常生活を取り戻していった経過です。

「あの頃の自分に戻れるとは、正直思っていませんでした」

この方が最初にご相談にいらしたとき、そっとつぶやいた言葉です。
朝、目が覚めるたびにお腹が痛くなる。
友達に会いたい気持ちはあるのに、体が動かない。
そんな日々が何ヶ月も続いていました。

今回は、抑うつ状態・動悸・下痢・生理前の不調を抱えた18歳の女性が、漢方を取り入れながら少しずつ日常を取り戻していった経過をご紹介します。
同じような症状でお悩みの方、また「薬の副作用がつらくて続けられなかった」という方にも、何かひとつ、参考になるものがあれば幸いです。

ご相談のきっかけと患者背景

この方は18歳の学生さんです。
ご相談にいらしたのは、体調を崩してから約3ヶ月が経ったころのことでした。

きっかけは、私生活でのトラブルでした。
詳しい内容については触れませんが、日常のなかで心に大きな負荷がかかる出来事があり、それを境に気力がなくなり、ほとんど布団から出られない状態が続くようになりました。

授業に出ることができなくなり、心療内科を受診。
そこで抑うつ状態と診断され、2種類の抗うつ薬が処方されました。
ところが、服用してみると吐き気や強いだるさなどの副作用が強く出てしまい、「飲み続けるのがつらい」と感じるように。
結果として、薬の服用も通院も中止することになりました。

その後も体調はなかなか回復せず、「西洋薬以外の方法を探したい」という思いから、当薬局へご相談にいらしました。
西洋薬が合う方もたくさんいらっしゃいますが、この方の場合は副作用がつらく、続けることが難しかったケースです。

これまでの症状とお悩み

詳しくお話を伺うと、現在の症状だけでなく、以前からくり返していたパターンも見えてきました。

まず、今の状態として最もつらかったのが「朝の体の緊張」です。
目が覚めた瞬間から、体がギュッと固まるような感覚があり、すぐにお腹がシクシクと痛み始める。
そのままトイレに駆け込むことが、毎朝のルーティンになっていました。

動悸も、日常のあちこちで起こっていました。
特に何かをしているわけでもないのに、突然、胸がドキドキしてくる。
「このまま倒れるんじゃないか」と不安になることもあったといいます。

▶️パニック発作・動悸が気になる方はこちら

また、生理前になると眠れない夜が続くというお悩みも、以前からずっと抱えていました。
寝ようとすると頭がさえてしまって、気づけば朝になっている。
そういうことが、毎月くり返されていたそうです。

いわゆるPMS(月経前症候群)の一部のような状態ともいえます。

▶️PMS(月経前症候群)と漢方についてはこちら

さらに遡ると、受験期や人が多い場所にいるとき、同じような症状が出やすかったことも分かりました。
動悸、腹痛、下痢。
緊張や不安を強く感じたときに、体がそのまま反応してしまう。
そういう傾向が、もともとあったのかもしれません。

▶️過敏性腸症候群(IBS)と漢方での考え方はこちら

一方で、友達とおしゃべりしているときは比較的楽に過ごせる、とのことでした。
症状が「ずっと一定」なのではなく、気持ちや環境によって波があるという点も、大切な情報でした。

漢方で考えるこの方の体質

西洋医学的にみると、この方の状態は「不安」「自律神経の乱れ」「抑うつ」といった言葉で説明されることが多いです。
心のストレスが、体の症状として表れている。
そのメカニズム自体は、漢方でも共通して理解しています。

漢方では、これらの症状を「気(き)のめぐりが滞っている状態」として捉えることが多くあります。
「気」とは、体の中を流れるエネルギーのようなもの。
これがスムーズに流れているときは、心も体も落ち着いて機能しやすい。
逆に、強いストレスや緊張が続くと、気の流れが乱れ、それがさまざまな不調として現れてきます。

この方の場合、朝の緊張・腹痛・下痢は「気が滞り、消化器に影響している」サインとして読むことができます。
動悸は「気が上に偏ったり、気が心臓あたりに滞っている状態」と関係していると考えられます。
そして生理前の不眠は、女性ホルモンのリズムと気のめぐりが密接に関わっている部分です。

当薬局では、糸練功(しれんこう)という気功由来の体質確認法を用いて、体の状態を丁寧に確認しています。
体の微妙な反応を手がかりに、その方の体質に合った薬方を絞り込んでいく方法です。

選択した漢方処方と治療方針

この方に選んだのは、大きく分けて2つのアプローチを組み合わせた処方です。

まず中心に据えたのは、気のめぐりを整え、心と体の緊張をほぐすことを得意とするお薬です。
気が滞ると、体はあちこちで力みやすくなります。
朝の腹痛もそのひとつ。
このお薬は、体の内側からゆるやかに緊張を解きほぐし、消化器への負担も軽くしていく働きが期待できます。

もうひとつは、自律神経のバランスを整えながら、心を落ち着かせ、眠りをサポートするお薬です。
動悸や不眠といった症状には、体を緩める働きかけが重要になります。
このお薬は、興奮しやすい状態を穏やかにして、夜に自然と眠れる体のリズムを取り戻すことを助けてくれます。

生薬は毎日ご自宅で煎じて飲んでいただく「煎じ薬」の形式でお出ししました。
手間はかかりますが、煎じ薬は体への吸収がスムーズで、体質に合わせた細かな調整もしやすいという利点があります。

治療の方針としては、「焦らず、少しずつ」を基本にしました。
抑うつ状態や自律神経の乱れは、短期間で一気に変わるものではありません。
体の底から立て直していくイメージで、月ごとに状態を確認しながら、必要であれば処方を調整していくことをお伝えしました。

4ヶ月間の経過

1ヶ月後の変化

服用を始めて最初の1ヶ月で、まず変化があったのは「朝のお腹の痛み」でした。
毎朝ほぼ確実に起きていた腹痛と下痢が、「あれ、今日はそんなでもなかった」という日が出てきたとのこと。
劇的な変化ではないけれど、確かに何かが変わってきた、という感触がご本人にもありました。

動悸については、まだ日常的に起きていましたが、「以前より長く続かなくなった」という印象を持っていただけたようです。
生理前の不眠も、「少し楽だったかも」という程度の変化がありました。

小さな変化ですが、「何も変わらない」が続いていた状態から、確かな手応えが生まれてきた時期です。

2〜3ヶ月後の変化

2ヶ月目に入るころから、変化がより目に見える形で現れてきました

まず、寝込む日の頻度が明らかに減ってきました。
それまでは何ヶ月も続いていた「布団から出られない日」が、週に数回、そして数日に1回という形で少なくなっていきました。
「今日は少し動けた」「学校のことを考えられるようになった」という言葉が、少しずつ聞かれるようになりました。

友人と短時間でもやり取りができるようになり、外出もわずかながら再開できた日があったといいます。
日常生活が「できないこと」の積み重ねから、「少しずつできることが増えていく」感覚に変わってきた時期です。

生理前の不眠については、「以前のように眠れない夜が続く、というパターンが減った」とのご報告がありました。
完全にはなくなっていませんでしたが、振り回されることが少なくなってきた印象でした。

4ヶ月後の状態

4ヶ月が経過したころには、全体的な状態がかなり落ち着いてきました。

以前のように何ヶ月も寝込み続けることは、ほとんどなくなりました
体が動かない日もゼロではありませんが、「そういう日があっても、次の日にはまた動ける」という感覚が戻ってきたといいます。

動悸も、日常のなかで気になる頻度がかなり落ち着いていました。
「そういえば最近、ドキドキしてないな」と気づいたとおっしゃっていたのが印象的でした。
症状がなくなったことに自分で気づける、というのは、それだけ体が安定してきたサインでもあります。

生理前についても、「比較的問題なく過ごせている」とご報告いただきました。
眠れない夜が続くというパターンが崩れ、毎月くり返されていた不調のサイクルが、だいぶ穏やかになってきた印象です。

現在の状況と今後について

4ヶ月間の服用を経て、この方の状態は大きく改善しました。
しかし、治療が「完全に終わった」わけではありません
漢方的にみると、体の底にある不安定さがまだ残っている可能性があり、本来であればもう少し継続することが望ましい段階でした。

ただ、「自分でしばらく様子を見てみたい」というご本人の希望があり、いったん漢方の服用をお休みすることにしました。
これは治療の放棄ではなく、「一度立ち止まって、今の自分の体を感じてみる」という選択です。

もし再び体調が崩れることがあれば、いつでもまたご相談いただけます。
漢方は「また始める」ことも、「少量に調整する」ことも、柔軟にできます。
この方が自分のペースで、自分らしく過ごせるようになることが、私たちの願いです。

同じようなお悩みをお持ちの方へ

「朝が来るたびにお腹が痛くなる」「突然、胸がドキドキして止まらない」「生理前になると眠れなくて、毎月つらい」。

この記事を読んで、「自分と似ているかもしれない」と感じた方がいたとしたら、ぜひ少しだけ読み続けてください。

薬が続けられなかった方も、どこに行けばいいか分からない方も、漢方を試したことがない方も、まず「話してみる」だけで構いません。
ご相談は、症状を羅列していただくだけでOKです。
「どう説明すればいいか分からない」という状態でも、一緒に整理していきますので、遠慮なくお声がけください。

当薬局では、糸練功という方法を使いながら、その方の体質や今の状態を丁寧に確認したうえで、煎じ薬を中心に処方をご提案しています。
「一般的な漢方薬を試してみたけど効かなかった」という方にも、体質に合わせた個別対応ができるのが強みです。

今この瞬間、体がつらくて前を向けないとしても、少しずつでも変わっていける可能性はあります。
漢方はゆっくりした医学ですが、その分、体の根っこから立て直していくことを得意としています。

ひとりで抱え込まず、まずはLINEで症状を簡単に教えてください。
どこに行っても改善しなかった経緯があっても、何年も続いている悩みでも、遠慮なくお話しいただけます。
全国どこからでもオンラインでご相談を承っています。

あなたのご連絡を、お待ちしています。

パニック・PMS・IBSに関する詳しい解説はこちら

この記事の著者・監修

漢方薬・紫雲 代表薬剤師 Kampo Shiun

  • 薬剤師(国家資格)
  • 漢方専門歴 20年以上
  • 気功実践歴 20年以上
  • 開局15年(2010年〜)
  • 漢方薬・紫雲 代表
  • 全国オンライン対応

神奈川県湘南エリアで漢方薬局「漢方薬・紫雲」を開局。 薬剤師として西洋薬の知識を持ちながら、20年以上にわたり漢方・気功の専門家として 多くの患者さまの体質改善に携わってきました。 「どこに行っても改善しなかった」「病院で異常なし、でもつらい」という方のご相談を 特に大切にしています。煎じ薬・氣功チェックを組み合わせた、紫雲ならではのアプローチで根本からの体質改善を目指します。

※ 本記事は薬剤師・漢方専門家の監修のもと作成しています。個別の症状についてはご相談ください。