生理前のあの感覚に、もう限界かもしれないと感じている方へ
「生理が近づくたびに、自分でも止められないイライラが出てくる。」
「月経痛がひどくて、横になるしかない日がある。」
「家族や職場の人に申し訳ないと分かっていても、どうにもならない。」
PMS(月経前症候群)や月経困難症は、症状の出方が人によって大きく異なります。
からだの痛みや重さとして出る方もいれば、気持ちの浮き沈みや涙もろさ、理由のない怒りとして出る方もいます。
その多彩さゆえに、「どこに相談すれば良いのか分からない」と感じている方が多いのも現実です。
婦人科に行くべきか、心療内科なのか、それとも我慢するしかないのか。
そうして時間だけが過ぎていく、という経験をされている方も少なくありません。
漢方は、からだの痛みと心の波の両方を、ひとつの流れとしてとらえることができます。
「月経困難症だからこの処方」ではなく、その方のからだ全体の状態を診ながら、一緒に取り組むのが漢方相談の特徴です。
毎月のつらさを「仕方がないもの」として抱えてきた方に、ぜひ読んでいただきたい症例をご紹介します。
ご相談時の状態:気づけば家族に当たってしまう自分が、怖くなっていた
ご相談くださったのは、家事と仕事を両立しながら日々を送っている、三十代の女性です。
来局されたのは、数年来のPMSと月経困難症にずっと悩まれていたからでした。
「生理の一週間前になると、感情のコントロールが急に難しくなる」とのことでした。
普段は穏やかな方なのに、生理前だけは些細なことで家族に強く当たってしまう。
叱るつもりでなかったのに、声が大きくなっている。
そのたびに「また自分でもびっくりするくらい怒ってしまった」と後悔されていました。
月経が始まれば感情は落ち着くのですが、今度は月経痛とからだの重さがやってきます。
下腹部の鈍い痛みと腰の重さが重なり、仕事や家事が思うように進まない日が続くとのことでした。
鎮痛剤を使えばある程度しのげるものの、毎月それを繰り返すことへの疲れも積み重なっていました。
ご本人が特につらかったのは、痛みよりも「自己嫌悪」だとおっしゃっていました。
「自分でも止められないと分かっている、でも止められない。それが一番しんどい」という言葉が印象に残っています。
家族に何度も謝りながら、「来月こそは」と思うけれど変わらない、という繰り返しが、長い時間続いていたようでした。
婦人科でホルモン剤やピルを処方されたこともあったそうですが、からだへの影響が気になって続けられなかった、とのことでした。
「からだに合った方法で、根っこから整えられるなら」という気持ちで漢方相談の扉を叩いてくださいました。
相談で大切にしたこと:からだのエネルギーと、感情の波をひとつながりで見る
初回の相談では、月経周期の経過や出血量の変化、痛みの出方の細かな確認から始めました。
漢方では、からだの状態を「気・血・水」という三つの視点で見ていきます。
月経に関わる「血(けつ)」の巡りの状態と、それを動かす「気(き)」のエネルギーがどのように絡み合っているか、を丁寧に確認していきます。
この方の場合、消耗しやすい体質に加えて、胃腸の疲れやすさがベースにあることが見えてきました。
ストレスや緊張が続くと胃腸に影響が出やすく、そこからからだ全体のエネルギーの作りが不安定になる。
その不安定が、生理周期に乗る形でイライラや感情の波として表れていた、というつながりです。
また、感情の「爆発」は生理前だけでなく、過労が続いた後や、睡眠が浅い週に重なると特にひどくなるというお話もありました。
からだのエネルギーが底をつくと、感情のセーフティネットが薄くなる、というイメージです。
日々の生活の様子もうかがいました。
就寝と起床の時間帯、食事のリズム、仕事と家事の配分、緊張がかかりやすいタイミングなど。
「症状だけ」でなく、「どんな生活の文脈の中でその症状が出ているか」を一緒に確認していくのが、紫雲の漢方相談のスタンスです。
そのうえで、ご本人のからだの状態に合わせた漢方と、日々の養生(からだの使い方・休め方・食事のリズム)をご提案しました。
最初から完璧を目指すのではなく、「今のからだが無理なく続けられる範囲」から始めることを大切にしながら、相談を重ねていきました。
数か月かけて見えてきた変化:「爆発」より先に、気づける自分になっていた
漢方をお飲みいただいて、最初の一か月は大きな変化は感じなかったとのことでした。
でも、「以前ほど鎮痛剤の効きが悪いと感じなくなった」という小さな手ごたえが、次の相談で聞かれました。
二か月目に入るころから、感情の「立ち上がり方」が変わってきたとおっしゃっていました。
以前はゼロから百に一気に跳ね上がるようなイライラが、今は少し手前で「あ、今生理前だな」と気づける瞬間が出てきた、と。
その気づきが一呼吸の余地を生んで、家族への言葉がほんの少しやわらかくなったと話してくださいました。
三か月目を過ぎるころには、月経痛の「重さのピーク」が短くなってきたという変化が出てきました。
完全になくなったわけではないけれど、「今日は一日寝込む」という日が減り、午後には動けるようになってきた。
それだけで、仕事や家事への影響がずいぶん変わった、とのことでした。
五か月ほど経ったころ、「先月は家族に怒鳴ってしまうことがなかった」と報告してくださいました。
それでも生理前のむずむずした感覚は残っている、とのことでしたが、「感情が来るサイン」として自分でキャッチできるようになっていたのです。
「深呼吸してその場をいったん離れる」「一人になれる時間をつくる」という自分なりの工夫が、自然にできるようになっていました。
ご本人が「一番変わったと思う」とおっしゃっていたのは、「爆発したあとの切り替えが早くなった」ことだとのことでした。
以前は当たってしまった罪悪感が何日も尾を引き、それがまた次のストレスになっていた。
今は「やってしまったな」と思っても、翌朝には気持ちが戻ってきている、と。
からだの変化と、感情の扱いやすさは、つながっている。
この方の経過は、そのことをあらためて教えてくれるものでした。
「毎月が怖い、という感覚がなくなってきました」と話してくださったとき、この方がずっと抱えてきたメンタル的な負荷を、少しずつ下ろしていただけているのだと感じました。
毎月の波に振り回されるのではなく、波を知っていて、自分で扱える自分に近づいていく。
そのプロセスを一緒に歩めたことを、うれしく思っています。
私たちが大切にしていること:「症状ゼロ」より、「自分で扱える感覚」を
紫雲では、PMS・月経困難症の相談において、「症状を完全になくすこと」だけをゴールにはしていません。
毎月の波を知り、自分のからだと感情の動きを理解しながら、扱いやすい状態に近づいていくことを大切にしています。
調子の良い月もあれば、疲れやストレスが重なって波が大きく感じられる月もあります。
そのどちらも「その方の今」として一緒に見ていく、というスタンスです。
「今月はなぜいつもより重かったのか」を振り返りながら、次の月に向けて養生や漢方の内容を調整していく、そういう継続的なやりとりが、ご本人の自己理解と体調管理の力を育てることにつながると考えています。
生活のリズムや仕事の状況が変わることも、子育てや介護でからだへの負荷が変わることも、年齢とともにホルモンバランスが動いていくことも、すべてその方の漢方相談の文脈として受け取ります。
正解のペースは人によって異なりますし、焦る必要はありません。その方のペースで、その方のからだに合った取り組み方を、一緒に探していきます。
同じようなPMS・月経困難症でお悩みの方へ
「毎月、生理前が来るのが怖い。」
「家族や職場の人に、また申し訳ないことをしてしまった。」
「痛みでどれだけ無駄にしてきた時間があるか、考えたくない。」
そういう気持ちを、一人で抱えてきた方に届いてほしい、と思いながらこの記事を書きました。
「完璧に感情を抑えられる自分」を目指す必要はありません。
波がある自分を知っていて、波が来たときに自分で対処できる、そういう状態に近づいていくことが、漢方相談での目標です。
その変化は、からだとこころの両方から、少しずつ積み重なっていきます。
紫雲では、糸練功という体質分析法を用いて、その方のからだの状態を丁寧に見ていきます。
同じPMS・月経困難症でも、薬方は一人ひとり異なります。
まず「自分の体質がどんな状態なのか」を知るところから、一緒に始められます。
LINEで症状をひとこと送っていただくだけでも構いません。
「こんな相談でいいのかな」と思う必要はありません。
どこに相談していいか分からないまま時間が過ぎてきた方も、ぜひ気軽にご連絡ください。
