不安感と息苦しさで「楽しめない」毎日が続いていた30代女性のパニック症状と漢方相談

パニック障害でつらいのは、発作そのものだけではないかもしれません。
「怖い」「不安だ」という気持ちよりも、「何も楽しめなくなった自分」に気づいたとき。
そちらのほうがずっと重く、静かにのしかかってくる、とおっしゃる方が少なくありません。

今回ご紹介するCさん(30代女性)も、そうした思いを抱えてご相談にいらした一人です。
主な症状は、電車に乗ろうとすると動悸や強い不安感が出てしまう、気力がわかない、肩がひどくこる、というものでした。
発作が怖くて外出の予定を減らしているうちに、好きだったことにも手が伸びなくなり、週末の予定を立てる気にもなれなくなっていたといいます。

仕事はなんとか続けていましたが、ランチに誘われても断ってしまう。
気分転換に映画を見ようとしても、集中できない。
「以前なら楽しめていたはずのことが、ことごとく楽しめない」

その感覚が、Cさんにとって最もつらい部分でした。

心療内科での薬物療法と、「もっと良くなりたい」という思い

Cさんはご相談の前から、心療内科で治療を受けていました。
抗不安薬や抗うつ薬(クロナゼパム、パロキセチン、エチゾラムなど)を服用しながら、日常生活をなんとか保っている状態でした。

薬によって、以前よりも発作の頻度は落ち着いていました。
それでも、「発作が減ったのに、心から楽しめている感じがしない」「このまま薬を飲み続けるだけで、本当に良くなっていくのだろうか」という不安は消えないままだったといいます。
漢方相談にいらしたのは、「薬をやめたいから」ではありませんでした。
「もっと根っこから、からだの状態を整えていきたい」

そういう気持ちからだったとおっしゃっていました。

氣功で見えた「気力の落ち込み」と「気の乱れ」

問診と氣功から見えてきた体質の傾向

初回の相談では、睡眠の質・胃腸の状態・冷え・疲れやすさ・ストレスのかかり方、そして日ごろの性格や行動のくせについて、時間をかけてうかがいました。
Cさんは、真面目でがんばり屋、つらくても「大丈夫」と言いがちなタイプでした。

氣功(糸練功)でからだの状態を確認すると、いくつかの傾向が見えてきました。
まず、体力の土台そのものが落ちていて、「気力が湧きにくい」状態になっていること。
もうひとつは、自律神経が揺れやすく、気が上に昇りやすい状態になっていること。

これらが動悸や不安感、ざわつきとして出やすくなっていると考えられました。
パニック発作の「突然の恐怖感」も、こうした気の不安定さと無関係ではないと見立てました。

粉薬AとカプセルBで「土台」と「気の巡り」を支える方針に

体質の傾向をふまえ、最初の薬方は粉薬AとカプセルBの組み合わせにしました。

粉薬Aは、からだの土台、体力・血の巡りを補う方向を支えるものです。
気力がわかない・疲れやすい・なんとなくからだが重い、という状態に働きかけます。
カプセルBは、気の巡りや自律神経の揺れを整える方向を支えるものです。
動悸・ざわつき・不安感といった「上に気が昇りやすい状態」を落ち着かせる役割を担います。

「まずは数か月を目安に、体調・気分・仕事や日常の楽しみ方がどう変わるかを一緒に見ていきましょう」とお伝えして、Cさんも「焦らずやってみます」とうなずいてくださいました。

2週間、1か月、2〜3か月|少しずつ「希望」が形になっていくまで

服用2週間目|不安はあっても、少し希望が湧いてきた

服用を始めて2週間が経ったころ、Cさんから「不安感はまだあるんですけど、なんか、ちょっと希望が湧いてきたような感じがします」という言葉がありました。
はっきりした変化というより、どこかかすかななんとなくの手応えです。

それでも、ずっと灰色だった毎日の中に、少しだけ光が差してきたような感覚だったそうです。

このタイミングで、主治医と相談のうえ、病院の薬を休止することになりました。
離脱症状が出る方もいるなか、Cさんの場合は特に症状が出ることなく経過しました。
服薬の変更はあくまで主治医の判断のもとで行われたものであり、自己判断での中止はお勧めできません。

服用1か月目|一度だけ発作はあったが、全体としては順調

1か月が経つころには、「電車で一度だけ発作が出た日があった」ものの、それ以外の日は不安感も比較的落ち着いて過ごせていました。
「毎日こわい」から、「たまにこわい日がある」へと、この変化は、Cさんにとって小さくないものでした。

一方で、「もっと良くなりたい」「もっと早く良くなれないか」という焦りも出てきました。
回復の途中でこうした気持ちが湧いてくることは珍しくありません。
「その焦り自体も、回復してきているサインのひとつです。ゆっくり見ていきましょう」とお伝えしながら、次の一か月を一緒に見ていきました。

服用2〜3か月目|眠りと体調が整い、仕事への前向きさが戻ってきた

2か月目に入ると、「ゆっくり眠れるようになってきた」「体調が良い日が増えてきた」という変化が出てきました。
睡眠が整うと、日中の気力も変わってきます。
Cさんも、以前より「からだが少し軽い」と感じるようになっていたようです。

ただ、仕事のストレスや不安感・恐怖感は完全には消えておらず、「前はできていたのに、なんで今の自分はこうなんだろう」と落ち込む日もありました。
そういうときは、「今のからだの状態でよくここまでやってこれたんだ」と、まずは今の自分をそのまま受け入れることを一緒に考えていきました。

2か月目に胃の症状が出たことがありましたが、3か月目にはそれも落ち着き、「仕事、ちょっと前向きな気持ちで行けてます」という言葉が聞かれるようになりました。

6か月〜1年半|「楽しめない毎日」から「旅行を楽しめる毎日」へ

6か月目|体調が安定し、漢方を減量

6か月が経つころには、体調が安定した状態が続いていたため、カプセルBを半量に減らすことにしました。
日常の中で不安や発作が少なくなり、「普通に過ごせる日」がいつの間にか当たり前になっていきました。
「特別なことをしない日が、穏やかに続いていく」

それがCさんにとっての回復の実感でした。

9〜12か月目|飲み忘れがあっても症状は出ず、仕事も順調

9か月を過ぎたころ、Cさんから「最近、飲み忘れた日があっても、特に何も出なかったんです」という報告がありました。
「すこぶる元気です」という言葉が自然に出てくるほど、からだの底の部分が落ち着いてきた様子でした。
このタイミングでカプセルBを休止し、粉薬Aだけを続ける形に切り替えました。

12か月目には、仕事も体調も順調に続いており、「旅行の計画を立てている」という話が出てきました。
行き先や日程を考えられるということは、先への期待を持てるようになったということです。

以前、何も楽しめなかった頃からすると、大きな変化でした。

1年半後|飛行機や新幹線を楽しめるようになり、治療終了へ

1年半後、Cさんは実際に旅行へ出かけました。
飛行機も新幹線も、以前なら考えられなかった乗り物です。
それが問題なく楽しめた、という報告をいただきました。

「行きたい場所に、自分の意思で行けるようになった」

その実感をもって、Cさんとの漢方治療はいったん終了となりました。

この症例からお伝えしたいこと

Cさんのように、病院で薬を飲みながらも「楽しめない」「先が見えない」という思いを抱えている方は、決して少なくありません。
薬によって発作が減っても、「からだの土台」が戻っていなければ、気力や喜びはなかなか戻ってこない。
そういうケースがあることを、この症例はあらためて教えてくれます。

漢方は、病院の薬を否定したり、置き換えたりするものではありません。
気力の落ち込み・自律神経の揺れ・冷えや疲れやすさといった「からだの土台」を支えることで、少しずつ波を小さくしていく

そういう一つの方法として、お役に立てることがあります。

経過や必要な期間には、個人差があります。
Cさんのように1年半で卒業できる方もいれば、もっと時間がかかる方もいます。
それは体質や生活環境、症状の重さによって異なりますので、正直にお伝えしておきたいことです。

「パニック障害で何も楽しめない」「薬は飲んでいるけれど、不安が消えない」

そんな思いを一人で抱え込んでいる方がいれば、漢方という選択肢があることを、どうか知っていただければと思います。
LINEで症状を簡単に教えていただくだけで大丈夫です。
どこに行っても変化が出なかった、という経緯をお持ちの方も、どうぞ遠慮なくご相談ください。

パニック障害の漢方治療について、詳しくはこちらをご覧ください。

この記事の著者・監修

漢方薬・紫雲 代表薬剤師 Kampo Shiun

  • 薬剤師(国家資格)
  • 漢方専門歴 20年以上
  • 気功実践歴 20年以上
  • 開局15年(2010年〜)
  • 漢方薬・紫雲 代表
  • 全国オンライン対応

神奈川県湘南エリアで漢方薬局「漢方薬・紫雲」を開局。 薬剤師として西洋薬の知識を持ちながら、20年以上にわたり漢方・気功の専門家として 多くの患者さまの体質改善に携わってきました。 「どこに行っても改善しなかった」「病院で異常なし、でもつらい」という方のご相談を 特に大切にしています。煎じ薬・氣功チェックを組み合わせた、紫雲ならではのアプローチで根本からの体質改善を目指します。

※ 本記事は薬剤師・漢方専門家の監修のもと作成しています。個別の症状についてはご相談ください。