PMDDに効く漢方とは?月経前不快気分障害の改善に使われる処方と体質別対策【漢方薬局解説】

月経の約1〜2週間前になると、
気持ちが激しく落ち込んだり、些細なことで強い怒りが込み上げてきたりと、自分でもコントロールできないほどの感情の波に悩んでいませんか?
そのような症状が毎月繰り返されるなら、PMDD(月経前不快気分障害)の可能性があります。

PMDDに悩み、「PMDDは漢方で改善できるのか」「漢方で体質から整えたい」と検索されている方も多いのではないでしょうか。

PMDDに悩む方の中には、
「病院の薬を飲み続けることへの不安がある」
「もっと自然な方法で体質ごと改善したい」
とお考えの方も多くいらっしゃいます。
そのような方に、漢方という選択肢をぜひ知っていただきたいと思います。

この記事では、PMDDと漢方の関係について、専門的な観点からわかりやすくお伝えします。


PMDDとはどんな病気?

PMSとの違い

PMDDを理解するうえで、まず似た言葉であるPMS(月経前症候群)との違いを整理しておきましょう。

PMSは、月経前に身体的・精神的な不調が現れる状態の総称です。
腹痛、むくみ、胸の張り、イライラ感など、多くの女性が経験する比較的広い概念です。

これに対してPMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder:月経前不快気分障害)は、PMSの中でも精神的な症状が特に強く、日常生活や人間関係に深刻な支障をきたすほど重篤なものを指します。
アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)にも掲載されており、れっきとした精神疾患として位置づけられています。

「毎月この時期になると、まるで別人になったように気持ちが不安定になる」
「家族や職場の人に当たってしまって、後から自己嫌悪に陥る」
という経験がある方は、PMDDを疑ってみるとよいかもしれません。

PMSについて詳しくは「PMSと漢方治療」の記事もご覧ください。

主な症状

PMDDの症状は、精神症状と身体症状の両方に現れます。

精神症状(PMDDの中心となる症状)

PMDDの診断には、以下のような精神症状が認められることが重要とされています。

  • 強い抑うつ気分、絶望感、自己否定的な考え
  • 著しい不安感、緊張感、「何かが起きそう」という漠然とした恐怖
  • 感情の急激な波(急に泣きたくなる、些細なことで涙があふれるなど)
  • 持続的なイライラ・怒り、人間関係の摩擦
  • 物事への興味・関心の低下、無気力感
  • 集中力の低下、ぼーっとする感覚

身体症状

精神症状と並行して、以下のような身体的な不調も見られることがあります。

  • 乳房の張りや痛み
  • 頭痛、偏頭痛
  • 関節痛・筋肉痛
  • 強い眠気、または不眠
  • 過食傾向、特定の食べ物への強い欲求
  • むくみ、体重増加感

これらの症状は月経開始の1〜2週間前(黄体期)に現れ、月経が始まるとともに数日で軽快するというパターンを繰り返すのが特徴です。

原因

PMDDの明確なメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、以下の要因が複合的に関係していると考えられています。

ホルモンの変動への過敏反応:月経周期に伴うエストロゲンやプロゲステロンの変動そのものよりも、こうしたホルモン変動に対して脳が過敏に反応してしまうことが一因とされています。特にセロトニン(幸福感や情緒安定に関わる神経伝達物質)のシステムが関与していると考えられています。

自律神経の乱れ:黄体期には自律神経のバランスが崩れやすく、これが精神的な不安定さや身体症状につながると考えられています。

ストレスや環境要因:慢性的なストレス、睡眠不足、不規則な生活習慣なども症状を悪化させる要因になります。体が疲弊しているほど、ホルモン変動の影響を受けやすくなります。

体質的な素因:同じホルモン変動があっても、症状が出る人と出ない人がいることから、体質や遺伝的な素因も関係していると考えられています。


PMDDに対する漢方の考え方

気・血・水のバランス

漢方医学では、人体の生命活動を支える基本要素として「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つを挙げます。PMDDと漢方の関係を理解するには、まずこの考え方を知っておくと役立ちます。

  • :生命エネルギーの流れ。気が滞ると(気滞)、イライラ、情緒不安定、抑うつ感などが生じやすくなります。
  • :血液とその栄養供給の機能。血が不足したり(血虚)、滞ったり(瘀血)すると、不安感、抑うつ、皮膚の乾燥、冷えなどが現れます。
  • :体内の水分代謝。水が滞ると(水滞)、むくみ、頭重感、めまいなどが起こりやすくなります。

PMDDでは特に、気の滞り(気滞)と血の問題(血虚・瘀血)が複合していることが多いと漢方では考えます。
月経に関わる症状は血の状態と深く結びついており、気の流れが悪くなることで感情のコントロールが難しくなる、というのが漢方的な病態理解です。

その中でも紫雲ではさらに深い体質に関係あると思われる反応を見つけており、多くの患者さまに喜ばれております。

ストレスと自律神経への働きかけ

現代医学的に見ると、PMDDはホルモンと自律神経、そしてストレスが複雑に絡み合った状態です。
漢方はこの複合的な問題に、体全体のバランスを整えるアプローチで働きかけます。

特に標治(表面に現れている症状)に対しては、「肝(かん)」という概念が重要です。
漢方の「肝」は、気の流れを調節し、感情(特に怒りやストレス)と深く関係するとされます。
ストレスや過労で「肝」の機能が乱れると、気の流れが滞り、PMDDのような精神症状が現れやすくなると考えます。

漢方薬の多くは、この「肝」の気の流れを整えることで、ストレス下でも情緒が安定しやすい状態へと導くことを目指します。

体質改善という考え方

現代医学によるPMDD治療では、主に低用量ピルやSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)といった薬物療法が用いられます。
これらは症状を抑制するうえで効果的ですが、「症状が出たときに対処する」というアプローチが中心です。

漢方が目指すのは、症状を毎月引き起こしやすい体質そのものを変えていくことです。
「毎月決まった時期に強い症状が出る」ということは、その人の体に一定のパターンがあることを意味します。
漢方では、そのパターンの根底にある体質的な偏りを見極め、長期的に整えていくことを大切にします。

本治(大元の深い体質)として、「脾(ひ)」や「腎(じん)」がくたびれている状態なってしまっている方が多く見受けられます。
この「脾虚(ひきょ)」「腎虚(じんきょ)」に対して漢方薬でアプローチすることにより、症状だけを追いかける治療よりもバランスよく整えていくことができるようになります。

すぐに劇的な変化を感じるというよりも、
「なんとなく毎月の症状が落ち着いてきた」
「以前ほどコントロールできない感情の波がなくなってきた」

という変化が、少しずつ積み重なっていくイメージです。

PMDDに漢方は効果がある?改善が期待できる理由

PMDDはホルモン変動に対する脳や自律神経の反応が関係すると考えられています。漢方では、自律神経のバランスや血流、ストレス反応を整えることで、月経周期に伴う心身の変化を穏やかにすることを目指します。

実際にPMDDの漢方相談では、

・生理前のイライラが軽減した

・気分の落ち込みが短くなった

・睡眠の質が改善した

などの変化を感じる方も多くいらっしゃいます。


PMDDによく使われる代表的な漢方薬

PMDDの漢方の相談でよく使用される代表的な処方をご紹介します。ただし、漢方薬は体質によって向き・不向きがあるため、必ず専門家に相談のうえ選んでいただくことが大切です。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

どんな人に向くか

比較的体力が低下しており、疲れやすく、冷えと熱感が交互に現れるような方に向きます。几帳面で物事を深く考えすぎる傾向があり、ストレスを内側に溜め込みやすい方に適しているとされています。

どんな症状に使うか

PMDDでは特に、月経前のイライラや怒りっぽさ、不安感、情緒不安定、抑うつ気分に用いられることが多い処方です。また、ほてりや発汗、肩こり、頭痛、不眠なども改善の対象となります。

漢方の世界で「気・血・水」のバランスを幅広く整える代表的な処方であり、PMDDの漢方治療の中でも特によく選ばれる薬のひとつです。


桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん・けいしぶくれいがん)

どんな人に向くか

比較的体力があり、のぼせやすく、下腹部に張りや痛みを感じることのある方に向きます。顔色が赤みがかっていて、冷えのぼせ(下半身が冷えるのに顔や頭はほてる)の傾向がある方にも適しています。

どんな症状に使うか

「瘀血(おけつ)」と呼ばれる血の滞りを改善する代表的な処方です。月経前の頭痛、のぼせ、強いイライラ、月経の色が暗い・塊がある、月経痛などに使われます。精神症状だけでなく、身体症状を伴うPMDDに幅広く対応できる処方といえます。


当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

どんな人に向くか

体力がなく、疲れやすい虚弱な体質の方に向きます。冷え性が強く、貧血気味で顔色が青白い、むくみやすいという傾向がある方に適しているとされています。

どんな症状に使うか

「血虚(けっきょ)」と「水滞(すいたい)」を改善する処方で、不安感、精神的な落ち込み、めまい、頭重感、月経不順などに使われます。強いイライラや怒りよりも、気力のなさ、不安、気持ちの落ち込みが強いタイプのPMDDに適していることが多いです。月経に関連した冷えやむくみが気になる方にも使いやすい処方です。


抑肝散(よくかんさん)

どんな人に向くか

神経質でイライラしやすく、些細なことで興奮したり怒りっぽくなったりする方に向きます。内側に怒りや緊張を溜め込みやすいタイプの方に適しているとされています。

どんな症状に使うか

「肝」の高ぶりを鎮める処方として知られており、強いイライラ、怒り、緊張感、不眠(特に入眠困難)などに使われます。PMDDで見られる衝動的な感情の爆発や、自分でも止められない怒りのコントロールに悩む方に選ばれることがあります。「抑肝散加陳皮半夏」という消化器にも配慮したバリエーションもあります。


漢方薬局で相談するメリット

体質に合わせた処方

上記でご紹介した処方はほんの一例です。漢方薬局では、問診を通じてお一人おひとりの体質・体調・生活環境を丁寧に把握したうえで、その方に最も合った処方を選びます。

特に紫雲では、問診だけでなく氣功を用いて体質を分析していきます。多くの方に喜ばれているのも氣の流れを読むことができるからだと考えております。

市販の漢方薬を自己判断で選ぶことも可能ですが、PMDDのような複合的な症状には、専門家による「体質の見立て」が重要です。同じPMDDでも、体質によって適した処方は大きく異なります。

根本改善を目指す

漢方薬局での相談では、「今月の症状を何とかしたい」という即時的なニーズにも対応しますが、それと同時に「なぜ毎月このような症状が出るのか」という根本的な体質の問題に取り組むことが中心となっていきます。

食事・睡眠・ストレスへの対処法など、生活習慣についてのアドバイスも合わせておこなうことで、漢方薬の効果をより高め、体質改善のスピードを上げることができます。

副作用が比較的少ない

漢方薬は天然由来の生薬を組み合わせたものであり、一般的に副作用は西洋薬に比べて比較的少ないとされています。ただし、体質に合わない処方を続けると、胃腸の不調などが起こることもあります。また、生薬によってはアレルギーが出ることもゼロではありません。

だからこそ、専門家のもとで定期的にフォローを受けながら使用することが大切です。体の変化を確認しながら、処方を調整していくことで、安心して継続しやすくなります。


病院の治療と漢方の違い

病院でのPMDD治療と漢方薬局でのアプローチには、それぞれ異なる特徴があります。どちらが優れているというものではなく、それぞれの長所を理解したうえで、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

視点病院(西洋医学)漢方薬局
アプローチ症状・原因への直接的な介入体質全体のバランスを整える
主な治療法低用量ピル、SSRI、鎮痛剤など体質に合わせた漢方薬の処方
効果が出るまで比較的早い場合もある数週間〜数ヶ月かかることが多い
目的症状のコントロール・抑制体質改善・症状の根本的な軽減
副作用薬によってさまざま比較的少ないが体質不一致で不調が出ることも

また、病院での治療と漢方は必ずしも二者択一ではありません。すでに病院で処方された薬を服用している場合でも、漢方薬を組み合わせることは多くのケースで可能です(ただし必ず医師・薬剤師・漢方専門家への確認が必要です)。

重要なのは、あなたの今の状態や希望に合ったアプローチを選ぶことです。症状が重く日常生活が大きく損なわれているときは、まず医療機関を受診することを優先してください。


改善までの期間の目安

PMDD 漢方治療において、よく聞かれるのが「どのくらいで効果が出るか」という質問です。

一般的な目安として、多くの方は2〜3周期(約2〜3ヶ月)で何らかの変化を感じ始めることが多いとされています。
漢方は体全体のバランスを整えるアプローチのため、即効性よりも持続的な改善を重視します。

ただし、これはあくまでも目安であり、個人差があります。
体質の偏りが大きい方や、長年症状が続いている方は、改善までにより長い時間がかかることもあります。
逆に、体質と処方がよく合っている場合は、1〜2周期で変化を感じられることもあります。

漢方薬局での相談を始めたら、以下の点を意識して経過を観察することをおすすめします。

  • 症状の強さ:以前と比べて症状のピークが和らいできているか
  • 症状の持続期間:つらい日数が短くなってきているか
  • 回復のしやすさ:月経が始まった後、気持ちの切り替えがスムーズになってきているか
  • 全体的な体調:日常の疲れやすさ、肌の調子、睡眠の質なども改善してくることが多い

体の変化を定期的に専門家に伝えながら、必要に応じて処方を調整していくことが、漢方治療をうまく進めるポイントです。


PMDDでお悩みの方は漢方薬局にご相談ください

「毎月この時期が来るのが怖い」
「大切な人を傷つけてしまう自分が嫌だ」
「もう何年もこの繰り返しで、疲れてしまった」

——そのように感じているなら、どうかひとりで抱え込まないでください。

PMDDに対する漢方治療は、こうした月経に関連した心と体の問題に、丁寧に向き合う手段のひとつです。
体質を見極め、あなたに合った漢方薬を選び、生活全体を含めてアドバイスする——漢方薬局ではそのようなサポートを行っています。

「病院には行っているけれど、もう一歩何かしたい」
「薬に頼るだけでなく、体の内側から変わりたい」
という方にとって、漢方という選択肢はきっと力になれると思います。

ご相談の際は、症状が現れる時期・期間・内容、月経のサイクル、普段の体調、生活習慣など、できる範囲で情報をまとめておくと、より丁寧な対応ができます。

はじめての方も、どうぞお気軽にお問い合わせください。

湘南・横浜・川崎でPMDDの漢方相談をご希望の方へ

漢方薬・紫雲では、PMDD(月経前不快気分障害)やPMSなど、生理前の精神的・身体的な不調に対する漢方相談を行っています。

薬剤師が丁寧にカウンセリングを行い、イライラ、不安感、抑うつ、不眠などの症状や体質に合わせて、適した漢方薬をご提案いたします。

「PMDDの症状を少しでも軽くしたい」
「毎月のつらさを根本から改善したい」

そのようなお悩みがありましたら、お一人で抱え込まず、ぜひ一度ご相談ください。

湘南・横浜・川崎エリアにお住まいの方はもちろん、非対面での相談にも対応しております。


よくある質問

PMDDは漢方で改善しますか?

PMDDの漢方治療は、多くの方に試みられており、症状の軽減や生活の質の向上に役立っているケースが多く見られます。ただし、漢方は体質に合わせた治療法であるため、「誰にでも確実に効く」とは言い切れません。また、PMDDの症状が重い場合は、まず医療機関での診断・治療を受けることが大切です。漢方薬局では、医療機関での治療と並行して相談いただくことも可能です。

どれくらいで効果が出ますか?

個人差がありますが、多くの方は2〜3周期(約2〜3ヶ月)程度で変化を感じ始めることが多いとされています。体質の改善を目指す漢方の性質上、すぐに劇的な変化が現れることは多くありませんが、「以前より症状が少し和らいだ気がする」という小さな変化が積み重なっていくことが多いです。焦らず継続することが大切で、定期的に専門家と経過を確認しながら進めることをおすすめします。

PMDDに市販の漢方は使えますか?

市販の漢方薬でも症状の軽減が期待できる場合がありますが、PMDDは体質によって適した処方が大きく異なります。漢方薬局で体質を確認したうえで選ぶことで、より効果的な改善が期待できます。

病院の薬と併用できますか?

多くの場合、病院で処方された薬と漢方薬の併用は可能とされています。ただし、薬の組み合わせによっては注意が必要な場合もあるため、必ず病院の担当医と漢方薬局の専門家の両方にお伝えのうえ、安全を確認してから使用してください。「漢方薬は天然だから大丈夫」と自己判断せず、現在服用中の薬をすべて正直に伝えることが大切です。

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の疾患の診断・治療を行うものではありません。症状が重い場合や、日常生活に大きな支障がある場合は、まず医療機関を受診されることをおすすめします。