「なんとなく」が、天職になるまで。この仕事をしている理由。

——漢方専門相談薬局 店主インタビュー

まず初めに、こう聞いた。「なぜこの仕事をしているのですか?」

答えは少し意外なものだった。「正直なところ、最初から志があったわけではないんです」

薬局の子として育つということ

物心ついたときから、自宅には漢方の香りがあった。両親が薬局を営んでいたからだ。

「当たり前すぎて、特別だとは思っていませんでした。ただ、風邪をひいても病院には行かないんです。友達とは違う薬を飲んでいたので、からかわれることもありましたよ(笑)」

その環境が「特別だった」と気づくのは、ずっと後になってからのことだ。

「やりたいことがないなら」という出発点

進路を考える頃、特にやりたいことが見つからなかった。そんなとき、両親から一言。
「やりたいことがないなら、薬剤師をやってみたら」。

それがすべての始まりだった。

さらに父の知り合いである、のちの師匠が勉強会をはじめたのもその頃で、「勉強会があるから来てみないか」と声をかけられた。

「なんとなく参加した、というのが正直なところです」。

「これだ」という直感と、わからないという現実

勉強会での最初の講義は、気功と「気の反応」についてだった。

「テレビで見るような、人を操る気功とは全然違いました。理論に基づいた説明で、すんなりと受け入れられたんです。初めて聞いたのに、これだ!と感じました」

しかし、直感と現実の間には大きな壁があった。

「気を感じることが、自分にはわからなかった。いつかわかったらいいなという思いだけで、通い続けました」

実践という名の、答えのない修行

数年通い続けたころ、師匠から声がかかった。「給料は大して出せないけれど、うちで修行に来るか」。

迷わず行った。丁寧に教えてもらえると思っていた。しかし待っていたのは、いきなりの実践だった。

「わかったようなわからないようなまま、ずっと続けていきました。それが正直なところです」

そして今——。

「今はわかっている、とはっきり言えます」

その一言の重さは、数年間の霧の中を歩き続けた時間があるからこそ、静かに、深く響く。

「気の反応を使った体質の見極め方、証の立て方——それが今の相談の核になっています」

涙を浮かべて「ありがとう」と言われるとき

当店に来られるお客様の多くは、メンタルの悩みを抱えている。真面目で、優しくて、1人で抱え込んでしまうタイプの方が多い。

「自分だけは特別に治らないと思い込んでいる方も多いんです。それだけ長く、孤独に苦しんできたということだと思います」

漢方によって回復し、視野が広がり、自分の人生を歩み始める——その変化を間近で見るとき、この仕事の意味を感じる。

「苦しんでいた方が回復されて、涙を浮かべて『本当にありがとうございます』とおっしゃるとき、私もこみ上げるものがあります」

今、苦しんでいるあなたへ

最後に、今まさに1人で悩みを抱えているかもしれないあなたへ、こんな言葉を贈ってくれた。

「まず、あきらめないでください。今の辛い症状は、良かれと思ってやってきたことも含めて、ご自身の体質に合っていないことをしてきた結果であることがほとんどです。ご自身に合った環境の中で、体の中の環境を整えていけば、多くの方に変化が訪れます。時間がかかることもありますし、途中で波があって、また戻ってしまったと感じることもある。でも慌てず、ご自身と漢方の力を信じて進んでいただければと思います」

人生はどんな方にとっても素晴らしいもの——それがこの薬局の、すべての根底にある言葉だ。

もし今、1人で抱え込んでいる症状があれば、まずお話を聞かせてください。

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私が実際にどのように証を見極めているかについては、こちらの記事で詳しくお話ししています。→なぜ同じ症状でも処方が違うのか——証・体質という考え方