15年続くめまい・パニック・IBSが重なった体を、整えはじめた話

「もうダメかもしれない」そう思ったことは、ありませんか

めまいが出たのは、もう15年前のことです。

パニック発作が加わったのは、その数年後。
膵炎と過敏性腸症候群(IBS)の診断がついたのは、さらにその5年後。

病院に通い、漢方薬局を3軒渡り歩き、合計5年以上も漢方薬を飲み続けた。
それでも、体はなかなか言うことを聞いてくれなかった。

今回ご紹介するのは、そんな経緯を抱えて遠方からご相談くださった40代の女性のお話です。
治療はまだ続いています。
「完治しました」という結末ではありません。
でも、これが今の現実であり、だからこそ、同じように長年悩まれている方に読んでいただきたいと思いました。

最初のめまい発作は、15年前のある朝のことだった

当時30代だったAさんは、職場と家庭の両方でプレッシャーがかかる時期が続いていました。

そしてある朝、突然でした。

「天と地がひっくり返るような感覚」、と後に教えてくださいました。
回転性のひどいめまいです。
救急を受診し、検査を受けましたが、異常は見つかりませんでした。
「ストレスによるもの」という説明だけが残りました。

激しいめまいそのものは落ち着いたものの、その後はふわふわとした浮遊感が続くようになりました。
立っているのか、浮いているのか、よくわからない感覚。
慣れてしまったけれど、なくなることもない。
そんな日々が続きました。

「パニック障害」という診断

それから数年後、別の強いストレスが加わりました。

今度は動悸と過呼吸です。
心臓がどくどくと脈打ち、息が吸えない感覚が突然やってくる。
病院でパニック障害と診断されました。

「また新しい病気が増えた」とAさんは思ったといいます。

薬が処方されましたが、根本的な不安感は消えず、体の重さも続きました。
頭が常に揺れているような感覚、首の後ろから肩にかけての重だるさ、上半身に力が抜けない緊張感、のぼせ、そして時折やってくる胸の圧迫感。

症状が複雑に絡み合って、どこが本当の「原因」なのか、自分でもわからなくなっていました。

そして5年前、膵炎と過敏性腸症候群(IBS)を発症しました。
胃の周辺から脇腹にかけての痛み、不安定な便通、食後の不快感。
消化器の症状が加わったことで、日常生活の質はさらに下がりました。

3軒の漢方薬局を経て、当店へ

Aさんが当店にご相談くださったのは、電話越しでした。
遠方にお住まいのため、LINE相談からのスタートです。

10年以上に及ぶ経緯を伺いながら、私は正直にお伝えしました。

「時間はかかると思います。でも、一緒に整えていきましょう。」

長年積み重なった体質は、短期間では変わりません。
それでもAさんは「やってみます」と答えてくださいました。

めまい・パニック・IBSを漢方医学からどう見るか

当店では、糸練功(しれんこう)という気功を応用した体質チェックを行っています。
脈診や腹診が薬剤師には法律上認められていない中で、長年の修練から得た独自の術です。

Aさんに対して気功によるチェックを行ったところ、予想していた通りの反応が確認されました。

水毒が原因による気のうっ滞です。

水毒とは、体の中の水分代謝がうまく機能せず、余分な水が滞ってしまっている状態のことです。
漢方では、この「余剰の水」が頭に上がるとめまいやふわふわ感を引き起こし、全身をめぐる「気(き)」の流れも滞らせると考えます。
Aさんのめまい、頭の揺れ感、身体の重さ、のぼせ、そして動悸という複合症状は、この流れで説明できます。

加えて、膵炎体質については「中焦の熱(ちゅうしょうのねつ)」という反応も見られました。
中焦とは、漢方で胃・脾・膵臓を含む消化機能の中枢を指します。
そこに熱がこもると、炎症が繰り返されやすく、IBSにも影響が出ます。

なぜ、めまいより膵炎・IBSを先に治療したのか

ここが大切なところです。

症状の深刻さで言えば、15年続くめまいが最優先に見えるかもしれません。
でも、体の「土台」が整っていない状態でめまいを直接攻めても、うまくいかないことが多いのです。

消化吸収の機能が乱れていると、せっかく飲んだ漢方薬もしっかり取り込まれません。
また、膵炎体質とIBSは日常的な苦痛を生んでいます。
これを先に整えることで、体全体が漢方薬を受け入れやすい状態になる。

「気の巡りのトラブル」と「中焦の熱」に取り組み、全体症状が落ち着いてきたら「めまい体質」を本格的に整える。

この順番には、理由があります。

順調に見えた半年後の「崩れ」

服用を始めてしばらく、体調は少しずつ上向いていきました。
Aさん自身も、変化を感じ始めていました。

しかし、半年後のことです。

強いストレスが加わり、体調が崩れました。
めまいと動悸が戻り、体の重さも増した。

再び気功でチェックすると、頚椎(けいつい)に反応が出ていました。
首の骨の緊張が、気の流れを詰まらせていたのです。

気の巡りに対応する漢方薬の組み合わせを、頚椎の問題にも対応できるよう調整しました。
2週間後、体調はなんとか持ち直しました。

「再発したのではなく、調整が必要なポイントが見えた」と、私はそのように捉えています。
体質改善の途中には、こうした揺れが起きることがあります。
それは失敗ではなく、体が教えてくれているサインです。

さらに1年後、めまいの大きな発作

その後も少しずつ安定を重ねていたAさんでしたが、頚椎の調整から約1年後、再びめまいの大きな発作が起きました。

ここで方針を改めました。

十分に土台が整ってきたと判断し、今度はめまい体質を本格的に整える段階に入ったのです。
めまいに対応する漢方薬を中心に組み直し、新たな局面での治療が始まりました。

現在のAさん

方針を切り替えてから半年が経ちました。

今のAさんは、良い状態が続いています。
めまいの大きな発作はなく、日常の生活を落ち着いて過ごせる時間が増えてきました。

気功でチェックすると、まだ邪気(じゃき)、つまり体に影響を与える乱れた要素の勢いが残っています。
完全に終わったわけではありません。
でも、もうしばらく体質改善を続けていくことで、外からのストレスや季節の変化に対しても、崩れにくい体に近づいていけると考えています。

15年かかった体は、15年かけて整える必要はない。でも、急ぐと遠回りになる

「年数が経った体質ほど、改善には時間がかかる」というのが、私の実感です。

ただそれは、「だからあきらめて」という意味では決してありません。

焦らず、丁寧に、体の声を聞きながら整えていく。
その積み重ねが、長年変わらなかった体質をほぐしていく唯一の近道だと考えています。

病院を何軒回っても原因がわからなかった。
漢方薬局に通ったのに体調が変わらなかった。
そういった経緯をお持ちの方ほど、ぜひ一度ご相談ください。

長い経緯があるほど、お話を聞かせていただくことが大切です。

LINEで症状の経緯を簡単に教えていただくだけで構いません。
「こんなに複雑な症状、相談していいのかな」と思う必要はまったくありません。
複雑であるほど、丁寧にお聞きします。

一緒に、良くなる方法を探していきましょう。

パニック障害の漢方治療について、詳しくはこちらをご覧ください。

この記事の著者・監修

漢方薬・紫雲 代表薬剤師 Kampo Shiun

  • 薬剤師(国家資格)
  • 漢方専門歴 20年以上
  • 気功実践歴 20年以上
  • 開局15年(2010年〜)
  • 漢方薬・紫雲 代表
  • 全国オンライン対応

神奈川県湘南エリアで漢方薬局「漢方薬・紫雲」を開局。 薬剤師として西洋薬の知識を持ちながら、20年以上にわたり漢方・気功の専門家として 多くの患者さまの体質改善に携わってきました。 「どこに行っても改善しなかった」「病院で異常なし、でもつらい」という方のご相談を 特に大切にしています。煎じ薬・氣功チェックを組み合わせた、紫雲ならではのアプローチで根本からの体質改善を目指します。

※ 本記事は薬剤師・漢方専門家の監修のもと作成しています。個別の症状についてはご相談ください。