気力が戻らない、ストレスに負け続ける——その奥にHPA軸の乱れ(HPA軸機能障害)が隠れていることがある

「やる気が出ない」
「ちょっとしたことで疲れ果てる」
「以前はこなせていたことが、今はとてもできない」——
そんな状態が続いているのに、病院の検査では「異常なし」と言われた経験はありませんか。

うつと診断されて薬を飲んでいるけれど、なかなか改善しない。
気の巡りを整える漢方を飲むと一時的に楽になるが、少し負荷がかかるとすぐに元に戻ってしまう。

「メンタルが弱いだけ」「気持ちの問題」と自分を責めながら、それでも頑張ろうとするほど、消耗していく。

その状態の奥に、HPA軸の乱れが関係していることがあります。

一時的に良くなるのに、すぐ戻ってしまう理由

当店に副腎疲労・HPA軸機能障害の乱れに関わるご相談が増えたのは、メンタル症状が改善しきらない方の漢方相談がきっかけでした。

気の巡りを整える漢方薬を飲むと、たしかに調子が良くなる。
ところが、仕事のストレスや体への負荷がかかると、すぐに元の状態に戻ってしまう——。
そういった方が繰り返し来られる中で、「一時的な改善ではなく、根本から立て直す必要がある」と強く感じるようになりました。

「頑張れない自分が情けない」「気持ちの問題だと思っていた」とおっしゃる方が多いのですが、体の状態を丁寧に見ていくと、気力でどうにかなる状態ではないことがわかってきます。

HPA軸とは——ストレス対応の司令塔

HPA軸とは、視床下部(H)・下垂体(P)・副腎(A)をつなぐストレス応答の回路のことです。

ストレスを受けると、この軸が働いてコルチゾールというホルモンが分泌され、体がストレスに対処しようとします。
しかし慢性的にストレスにさらされ続けると、この回路が疲弊し、正常に機能しなくなることがあります。

問題は、この状態が一般的な血液検査では「異常なし」と出ることです。
数値に現れないため、「気のせい」「うつ病」として処理されてしまいやすいのです。
しかし体は正直に、疲労のサインを出し続けています。

副腎疲労の”中身”として語られるHPA軸機能障害

「副腎疲労」という言葉は一般向けに広まった表現ですが、医学的にはより正確に「HPA軸機能障害」と呼ばれることがあります。
コルチゾールの分泌リズムが乱れ、ストレス応答システム全体が疲弊している状態です。

西洋医学の専門家の中には「副腎疲労」という表現を使わず、「HPA軸の機能不全」として捉える方が増えています。
呼び方は違っても、指している状態は共通しています——
慢性的なストレスにさらされ続けた結果、体のストレス応答システムそのものが疲弊しているということです。

呼び方はともかく、この状態が厄介なのは「精神的なストレスだけが原因ではない」という点です。

HPA軸機能障害だからこそ、生活と体質を両方見る必要がある

HPA軸に負担をかける要因は、精神的ストレスだけではありません。

血糖の乱高下・慢性的な睡眠不足・夜更かし・慢性炎症——

こうした生活習慣の積み重ねが、じわじわとHPA軸の機能を蝕んでいきます。

「特にストレスはないと思う」とおっしゃる方でも、夜遅くまで働いている、甘いものが手放せない、朝食を抜きがちといった生活パターンが、気づかないうちにHPA軸に負担をかけていることがあります。

漢方の視点では、こうした積み重ねの影響が「虚(きょ)」「気血水の乱れ」として体に現れてくると捉えます。
だからこそ、HPA軸の問題には「体質を整える」と「生活の負担を減らす」の両方からアプローチする必要があります。

当店では、気功による体質チェックで今の状態を確認しながら、その方の体質と生活背景に合わせた煎じ薬を選んでいます。
「HPA軸機能障害かもしれない」と感じている方こそ、一度丁寧にお話を聞かせてください。

じっくりお話を聞かせてください。
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気功チェックで見えてきた、副腎へのアプローチ

40代女性。20年近く不安症状・うつ症状でお悩みでした。

以前から当店でも漢方薬をお飲みいただいており、そのときどきの状態に合わせて気の巡り・女性ホルモン・胃腸など、様々な面から対応してきました。
ひとつひとつの症状は落ち着いていくのですが、「薬をやめることへの不安」だけはどうしても消えません。
一度離脱症状を経験したトラウマもあり、一旦お休みすることになりました。

しかし半年後、メンタルの症状が再発し悪化してしまいました。
ご本人は「不安と恐怖で生き地獄のようだった」と表現されました。

改めてくわしくお話を伺うと、過去に副腎疲労・低血糖症と言われたことがあるとのこと。

早速、気功でお身体の状態を確認し直しました。
すると副腎部付近に反応が出ていました。
師匠から教わった、視床下部から下垂体・副腎皮質への流れに対応する漢方薬が反応します。
それまでの処方に、この副腎部付近へのアプローチを加えました。

1ヶ月後——「今までで一番良い」とのことでした。

▶この方の詳しい経過は、こちらの記事でご紹介しています。

ストレスに「気づいていない」ことが、HPA軸を静かに傷める

HPA軸の乱れに悩む方には、もうひとつ共通するパターンがあります。

ストレスを受けていること自体に気づいていない方、あるいは気づいていてもどう対処すればいいかわからない方です。

「特にストレスはないと思う」とおっしゃりながら、よく話を聞いてみると、長年にわたって無意識に負荷を抱え続けていることがあります。
家族のこと、仕事のこと、自分でも言語化できていない緊張感——。
体はそのストレスをHPA軸を通じて記録し続けているのに、意識の上では「たいしたことない」と処理されてしまっている。

この状態は、気持ちを強く持とうとするほど悪化します。
コルチゾールの分泌がさらに促され、副腎への負担が積み重なるからです。
「頑張れない自分がおかしい」ではなく、体が限界を超えているサインとして受け取ることが、回復への第一歩になります。

漢方からのアプローチ——腎虚・脾虚の視点

漢方医学に「HPA軸機能障害」という病名はありません。
しかし、それに相当する体の状態は、古くから「虚(きょ)」という概念で捉えられてきました。

副腎疲労的な状態にある方には、多くの場合腎虚(じんきょ)脾虚(ひきょ)が見られます。
腎虚は生命活動の根本エネルギーが枯渇した状態、脾虚は食べ物から気・血を生み出す消化・吸収の力が低下した状態です。
一言で言えば、自然治癒力がくたびれているということです。

当店では、気功によるチェックで副腎部付近の反応を確認しながら、その方の体質に合わせた煎じ薬を組み立てています。
「HPA軸だからこの漢方」と一律に決めることはできません。
同じような症状でも、体質によってまったく異なる処方になります。
だからこそ、気功で体の状態を直接確認することが、遠回りに見えて最も的確な対応につながります。

▶糸練功についての詳しい説明はこちら

最初に副腎疲労と漢方の関わりに気づいた症例の詳細はこちらです。
副腎疲労症候群(アドレナル・ファティーグ)と漢方薬

「副腎疲労と言われたけれど、本当にそうか分からない」という方はこちらもご覧ください。 ▶ 副腎疲労か分からない|漢方は昔からその状態を見ていた

「朝スッキリ起きられる日が来るとは思っていなかった」

先述の40代女性は、その後数年ぶりに仕事に復帰されました。
「光が見えてきた」という言葉が、今でも印象に残っています。

長年、不安と疲労の中で過ごしてきた方が、朝に布団から自然に起き上がれるようになる。
やりたいことに気力が向かうようになる。
その変化は、数値には現れないけれど、確かに体の中で起きていることです。

ご相談はLINEからどうぞ

漢方相談のご予約はLINEからどうぞ。じっくりお時間をとってお話をお伺いします。

「検査では異常なし」「病院の薬を飲んでいるが改善しない」「どこに行っても良くならなかった」——そういう経緯でも、遠慮なくお話しください。